「視点を変える」についての雑感

よく言われる言葉に、「視点を変える」というのがある。
  1. 「視点を変えれば人生が変わる。」
  2. 「視点を変えて見ることも重要だ。」
  3. 「視点を変えて問題を解決する。」
  4. 「視点を変えると、目のまえに新しい世界が開ける。」
  5. 「視点を変えると相手の気持ちが見えてくる。」
  6. 「視点を変えれば、事業経営のピンチを切り抜けられる。」
こんなにたくさんの効能書きを見せつけられると、「視点を変える」が、万能薬のように思えてくる。
しかも、「視点を変える」ことに料金はかからない。
ただ視点を変えれば良いだけなんだから.
などと、そんなささやきは、ちょっとインチキ臭いのではと思えてくる。
「視点を変える」っていったいどういうことなんだろう。

最近WOWOWで、北野武監督作品の「キッズリターン(Kids Return)」という映画を見た。
北野武氏の映画は何作か見たが、はじめてちょっと面白いかなと感じた映画だった。
青春映画なのだが、北野映画ではなかなか感じられなかった「安堵」を、最後のシーンで感じた。

どちらかというと「落ちこぼれ」の、高校生たちが社会に出て、様々な現実に出会うさまを描いた青春映画である。
プロボクサーの道をすすむシンジと、極道の世界でのし上がろうとするマサルを中心にして描かれている。

たとえばこの映画を、新進ITベンチャー企業に勤める若いサラリーマンが見たらどういう感想をもつだろうか。
いわゆる「落ちこぼれ」と呼ばれている高校生が見たら、どういう感想を持つだろうか。

実生活にもとづいた人生観から発せられる「視点」は、人によって違うことが多い。
一方は違和感を覚え、一方は共感を覚える。
私は、ちょっと共感を覚えたのだが。

もちろん、「エリートサラリーマン」と呼ばれている若者がこの映画に共感を覚えることがあっても不思議ではない。
しかし、それはあくまでも映画の世界。
現実にマサルのような若者が身近にいたらどうだろうか。

その人の現実生活を成り立たせている人生観が、その人の「視点」に直結している場合が多いのではないだろうか。
多くの場合、今現在の生活を変えなければ、「視点」は変わらない。

八甲田

上の写真は、青森市街から撮った今日の北八甲田。
残雪が消えつつある。

この残雪を、春スキーが趣味の人が見たら、まだ大丈夫だなと思うことだろう。
山菜採りの人が見たら、まだ早いなと思うかもしれない。

同じ山でも、見る人の好みの傾向で違う様に見える。
それだけ山はいろいろな姿を持っている。
それは現実も同様。
「視点」を変えればいろいろな現実が見えることは確かなこと。
そこから問題解決の糸口も見つかるかもしれない。

もし、春スキーと山菜採りが趣味の人がいたら、もっと多面的に山を見ることができるだろう。
物事をいろいろな角度から、「視点」を変えて見ることができる人。
そういう人になるための条件のひとつは、多趣味であること。
そして、ときには新進気鋭のサラリーマンであったり、ときには極道世界の人間であったり・・・・・。
おっと、これは極端な話だが。

要するに、生活を変えなければ視点は変わらないのではあるまいか。
バラエティーに富んだ生活、バラエティーに富んだ趣味、多様なものの考え方。
そういうものがあってはじめて「視点を変える」ことができる。

だから「視点」は、ワンパターンな生活者では、そうそう簡単には変わらないのではあるまいか。
自戒をこめて、そう考えてみた。

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