津軽弁のハクランは霍乱

夏の思い出
私のこどもの頃、この地方では日射病のことを「ハクラン」と言った。
日射病になると、「ハクランした」とか「ハクランおこした」と言ったものだった。

こどもの私は、真夏の直射日光の下で、帽子もかぶらずに遊び歩いていたので、よくこの「ハクラン」になった。
症状は、全身の力が抜けて頭痛がし、嘔吐を2〜3回繰り返すというもの。
木陰で横になっていれば、1〜2時間で回復した。

日射病
 私の「ハクラン」は癖のようなものだったので、私がそういう症状に落ち入ると、友人達は私を木陰に寝かせて、その近くで遊んでいた。

遊びに夢中になりながらも、時々、私の様子を見に来てくれたことが、子ども心にもうれしかった。

私の「ハクラン癖」は小学校高学年になると止んだが、その頃でも「博覧会」とか「万国博覧会」という言葉を聞くと頭痛と吐き気が起こりそうだった。
「博覧会」という言葉の響きに、会場に集まった大勢の人々が一斉に「ハクラン」を起こして苦しんでいる様子が思い浮かび、自身の空想に「自家中毒」しそうになるのだ。

そのくらい子どもの頃は、真夏の「ハクラン」に悩まされた。

勘違い
鬼の霍乱(おにのかくらん)という言葉がある。
意味は、ふだんきわめて丈夫で健康な人が珍しく病気になることのたとえであるとか。

私はこの「鬼の霍乱」を、かなりの年齢まで「鬼の撹乱」と覚えていた。
その意味は、「気の強い者の代表選手のような鬼が、気が弱くなり、心が乱れること。」
つまり、どんな者でも思いがけなく弱点をさらすことが有るものだという例え。
と、このように勝手に意味を付けて覚えていたのだ。

意味的には、当たらずとも遠からずであった。
まったく、感心するような勘違いだった。

「鬼の撹乱」を、いつ「鬼の霍乱」に修正できたのか、記憶に無い。

霍乱がハクランに訛る
「霍乱(かくらん)」とは、日射病や暑気あたりの古い言い方だそうである。
とすれば、津軽弁の「ハクラン」は「霍乱(かくらん)」の訛った発音なのではないか。

津軽地方には、古典時代の都の古い言葉が方言として残っていたりするから、ほぼ間違いないような気がする。

残暑厳しいこの頃、「霍乱」には気をつけよう。
「霍乱」は熱中症のもとであるから。

蛇足だが、中国語では「霍乱」はコレラのことであるとか。

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