Homepage   雑談散歩

  雑談散歩

    山スキーやハイキング、読書や江戸俳諧、山野草や散歩、その他雑多なことなど。

広告

Latest Posts

秋田刈る仮庵を作りわが居れば衣手寒く露ぞ置きにける

秋田刈る仮庵を作りわが居れば衣手寒く露ぞ置きにける

秋の田 稲刈りのための作業小屋が、ほぼ出来かけた頃に雨になった。 雨脚がだんだん激しくなって、田んぼの端にある森が白く煙って隠れてしまった。 軒部分の葺きが粗かったのか、稲藁が黒く染みて、ぽつりぽつりと雨露が垂れている。 まだ昼過ぎなのに、辺りは夕暮れのように暗い。 ちょっと早い...

2024/03/14
飛ぶ鳥の明日香の里を置きて去なば君があたりは見えずかもあらむ

飛ぶ鳥の明日香の里を置きて去なば君があたりは見えずかもあらむ

藤原宮 大極殿跡(サイゲンジロウ氏撮影・パブリックドメイン)。 去るのは女性(歌で物語を描くのは女性) 一斉に鳥が羽ばたくように、明日香の里をあとにして、去ろうとしている。 三代続いた都の栄華を、もう見渡せないところまで来た。 こうして離れると、寂しさが募るばかり。 美しい都も、...

2024/02/23
しなが鳥猪名野を来れば有間山夕霧立ちぬ宿は無くして

しなが鳥猪名野を来れば有間山夕霧立ちぬ宿は無くして

摂津名所図会・有馬温泉(国立国会図書館デジタルコレクションより)。 しなが鳥が川面に居並ぶ猪名川を越えた。 この道が有馬道と呼ばれている街道であるのかどうかは定かではない。 難波から有馬の湯里へ向かうには、幾筋かあるなかで、この道が良いと旅人に教えられた。 この道を進めば、猪名川...

2024/02/19
秋津野に朝ゐる雲の失せゆけば昨日も今日も亡き人念ほゆ

秋津野に朝ゐる雲の失せゆけば昨日も今日も亡き人念ほゆ

朝焼けの雲。 秋津野の朝焼けの雲が、だんだん消えていく。 紫がかった東雲が、細くたなびいて白くなり、薄雲になって青い空に染みていく。 亡くなった人を焼いた煙が、雲になるという。 秋津野の空の雲を見ていると、あの人を葬送した朝を思い出す。 星空を仰いで、荼毘の炎は蒼い空に赤く燃え上...

2024/02/17
春日山おして照らせるこの月は妹が庭にも清けかりけり

春日山おして照らせるこの月は妹が庭にも清けかりけり

春日山の月。 高円山に朝日が昇ると、春日山はその光を浴びて美しく輝く。 その姿は、神々が森を抱いているように見える。 春日山を崇めれば、疲れた心が洗われる思いがする。 その春日山の麓に住まいを構えているものの、吾の屋敷は精彩に欠けている。 造りも安普請ではなく、屋敷も広いのに。 ...

2024/02/15
海原の道遠みかも月読の明すくなき夜はふけにつつ

海原の道遠みかも月読の明すくなき夜はふけにつつ

暗い海。 夜の神に見放されてしまったのか、月の明かりが暗い。 これでは、岩礁の在処を知ることもできず、潮の流れを見ることもできない。 海賊の襲撃をおそれて、日暮れてからの船出にしたのだが、当てにしていた月明りがわずかしかない。 岸に沿って航路が示されている次の泊地までは、危険な岩...

2024/02/13
山の際に渡る秋沙の行きて居むその河の瀬に波立つなゆめ

山の際に渡る秋沙の行きて居むその河の瀬に波立つなゆめ

アイサガモのイラスト。 「鳥イラスト素材集」 より。 吾の愛しいアキサが、別天地を求めて村を飛び出して行った。 吾に一言もなく。 やんちゃで向こうっ気が強くて気難しいアキサは、一つところにはなじめない。 ここへやって来た時がそうであったように、ふいにどこかへ飛び去った。 やんちゃ...

2024/02/11
み吉野の山の嵐の寒けくにはたや今夜も我ひとり寝む

み吉野の山の嵐の寒けくにはたや今夜も我ひとり寝む

宮滝遺跡。Wikipediaより転載(パブリックドメイン)。 帝のお供で吉野に来た。 官人たちは宮殿に入ったが、吾はずっと手前の藁屋根の小屋で、またしても警護の任につくことになった。 世の中が平定してきたから、警護と言っても形だけのもので、今回の番人は吾だけである。 夜になると吉...

2024/02/08
宇治川を船渡せをと喚ばへども聞こえざるらし楫の音もせず

宇治川を船渡せをと喚ばへども聞こえざるらし楫の音もせず

岩波新書の「宇治川を」のページ。 夕暮れ近くに、宇治川の渡し場に着いた。 霧で覆われ始めた川面に、時折風が吹くと、対岸がうっすらと見える。 渡し船は、向こう岸の桟橋に繋がれたままで、渡し守の他に人影は見えない。 こちら側の客も吾一人だけだ。 黄昏の河原に、網代を打つ波の音が寂しい...

2024/02/07
暁と夜烏鳴けどこの山上の木末の上はいまだ静けし

暁と夜烏鳴けどこの山上の木末の上はいまだ静けし

カラス。 夜明けに襲撃があるやもしれぬと物見衆が話していたが、辺りは、まだしんとしたままだ。 疲れはてて眠ってしまった者、不安そうに小声で語り合う者、剣の柄に手をかけて用心する者。 そんな兵士たちが、背の高い葦原に身を隠して、じっとしている。 黒々とした山裾の、小高い森には、弓矢...

2024/02/02

広告

広告