谷間で咲いていた紅紫色のツリフネソウ
ツリフネソウ。 |
ツリフネソウは食虫植物か?
八甲田山、城ヶ倉大橋の下の方でツリフネソウが咲いていた。黄色いツリフネソウはキツリフネと呼ばれているが、ツリフネソウといえば、花が紅紫色のものを指す。
ムラサキツリフネとも呼ばれたりするが、標準名はツリフネソウである。
花柄から舟がぶら下がったような形の花なので、ツリフネソウ(釣舟草・吊舟草)と呼ばれているとか。
独特の花の形は、花の筒の中へ虫を誘い込む食虫植物を連想させる。
だが、ツリフネソウは食虫植物ではない。
谷間でひっそりと咲いている。 |
花の構造が難しい
ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草。写真のツリフネソウは、城ヶ倉渓谷へ下る林道の縁で咲いていた。
(ちなみに、城ヶ倉渓谷の遊歩道は閉鎖されている。)
ここのツリフネソウの草丈は、高いもので50センチぐらい。
葉は基部では互生しているが、花の近くでは葉が集まって輪生状になっている。
さて、独特な形の花なのだが、その構造は難しい。
私には、どれが萼片でどれが花弁なのか、よくわからない。
萼片も花弁も、同じ紅紫色であるというからややこしい。
尻尾のようにクルリと巻いているものが、距(きょ)であることだけはわかるのだが。
独特の花の形。 |
初めての出会い
ツリフネソウを初めて見たのは、野辺地町の枇杷野川の川岸でだった。今からもう30年ほど前のことである。
野辺地の烏帽子岳の登山口に向かう林道で見つけたのだ。
その当時から山野草に興味を持っていたので、「ツリフネソウ」という名前は知っていた。
川の岸の草薮でこの花を見つけた時、これはツリフネソウに違いないと思った。
それほど花の形と、「ツリフネ」という名前がマッチしていたのだ。
未知の花で、花の形から名前が思い浮かぶという、こういう野草との出会いは稀である。
山野草と山
そのときはじめて野辺地烏帽子岳へ登った。ヒバとブナの森の中を登っていく楽しいハイキングだった。
その当時もカメラ携行のハイキングだったが、カメラはデジタルでは無いフィルムカメラ。
ツリフネソウや烏帽子岳登山道の様子を写真に撮ったけれども、今はその写真も行方不明状態。
今でも、烏帽子岳と聞くと、あの枇杷野川のツリフネソウの群生を思い出す。
山野草との出会いもまた、過ぎし日のいちページを思い起こす契機となるものなのだ。
果実。まだ細いから、できたばかりなのだろう。 |
花と葉。花の近くの葉は輪生状についている。 |
葉には細かい鋸歯があり、互生。 |
ツリフネソウの群生。フキと同様に、半日陰のやや湿った場所を好む。 |