2012/06/04

慌てる乞食はもらいが少ない

「慌てる乞食はもらいが少ない」という、「ことわざ」のような「言い習わし」のような文句があります。

「多くのものを手に入れようと焦れば、かえって何も得られない」とか「欲張りすぎて、慌てたら、損をするよ。」というような意味なんだそうです。

この「ことわざ」の意味を、ネットのいろんなサイトで調べてみると、面白いことに、その「ことわざの意味」の解説に「乞食」という言葉は出てきません。

「じっと最後まで根気よく待てば、思いがけない利益が得られることもあるので、欲張って早急な行動に出るとかえって損をしてしまう。」とか「先を争って貰おうとすると、反感を買って貰いが少なくなるものである。急ぎすぎると、かえって悪い結果を招くという戒め。」であるとか。

この「ことわざ」には、明確に「乞食」と記されているのに、「乞食」を「解説のことば」として用いているものは少ないのです。

数あるなかには、「人より多く貰おうとして欲張る乞食は、かえって施しが少なくなる。同じように、慌てて騒いだり行動したりすると、かえって損をすることが多いということ。」というように「乞食」と明記して解説しているものもありました。

やっぱり、「乞食」を前面に出して説明している解説は少ないようです。
ことわざに、「乞食」とあるのだから、それは自明の事ということなのでしょう。


似たような意味合いの「言い習わし」に、「急いては事を仕損じる」とか「急がば回れ」とかがありますが、こちらの方が「乞食云々」よりも聞きやすいですね。

「乞食」という言葉自体、人を見下した、上から目線の言い方です。
人の気持ちを虐げる、失礼な言い方です。
相手を上から押さえつけようという心根が表れている言葉です。

そういう言葉を組み入れた「ことわざ」自体が、人を見下したものになっています。

人を見下すことは良くないことだという気持ちが、「慌てる乞食はもらいが少ない」という「ことわざ」の解説の言葉として「乞食」を前面に出さないという風潮をつくっているのでしょう。

現在は、「乞食」は差別用語として放送問題用語になっているらしく、ネットの言葉としてもふさわしくないという了解があるのだと思います。

「慌てる乞食はもらいが少ない」が激しく人を罵る内容を持っているのに、その「ことわざ」の解釈が人を救う優しさに満ちている。

案外この「ことわざ」の意味は、人は優しくもあり残虐でもあるよ、ということなのかも知れません。

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