葉の落ちた裸木を華やかにする雪の花
落葉した木の枝に雪の花がつく。 |
昨夜、少し雪が降った。
落葉した公園の樹木の、裸の枝に白い雪が付いて、花が咲いたようだ。
裸木(はだかぎ)とは、冬になって落葉を終えた樹木のこと。
まとっていた紅葉を衣服に例えたのだろう。
鮮やかに彩られた葉が、すっかり散って、裸になった木。
寒々とした印象だが、木としての存在感を強く感じる。
裸木と同じ意味合いで、枯れ木という言葉がある。
枯木とは、葉がすっかり枯れてしまった木のことだが、木自体が枯れているような印象がある。
生命感が感じられない。
生命感と言えば、生命感あふれる新緑の木もいい。
生き生きと輝く紅葉の木もいい。
だが、一糸まとわず、天に向かって枝を差し伸べた裸木も美しい。
その美しい裸木に新雪がまとわりつくと、白い花盛りになる。
こうして見ると、冬には落葉樹がよく似合う。
公園には、ツゲやアオキ、カイズカイブキなどの常緑樹もあるが、見た目が、季節による変化に乏しい。
裸木は、辺り一面雪の原になると、黒々としたシルエットを空に浮かび上がらせる。
凛として立っているその影は、生命の形なのだ。
裸木の生命感は独特である。
血管のように枝を張り巡らして、この空間を息づかせている。
天に枝を差し出して、空の呼応を待っている。
それに応じるように、天が裸木に白い花を咲かせる。
鈍色の雲の間から、うっすらと青空が顔を出し、陽が射し込めば、公園の樹木が、歓喜の静寂を震わせる。
そのかすかな空気の振動が、見る者に感動を与えるのかもしれない。
落葉した裸木を華やかにする雪の花。
「雪の生命力を感じようではないか。」
堂々としたケヤキの大木が、そう言っているような雪景色の中で、呆然としている犬と私。
公園の木立が生き返ったような。 |
大きな木の雪の花は見応えがある。 |
うっすらと青空が顔を見せる。雪の花は一層華やかになる。 |