節分の料理としての恵方巻き
節分の日に恵方巻きとなる太巻き。 |
幼稚園や保育所で豆まき大会が催される日である。
そして近年、 全国に定着したのが、節分の「恵方巻き」。
節分に「恵方巻き」を食べると縁起が良いという習慣は、昔は大阪地方の地域限定的なものであったらしい。
それが最近では、 全国でおなじみのイベントとなっている。
青森でも、幼い子どものいる家庭では、節分に恵方巻きを作って、一家そろって食べるのが家族の行事となっているようだ。
今年(2014年)の恵方(縁起の良い方角)は東北東ということなので、家族全員でその方角を向いて、「恵方巻き」を丸ごと1本かぶりつくという、遊びのような縁起行事。
これを商業イベントとして流行らしたのは 、コンビニエンスストアであると言われている。
また、海苔業界であるとも言われている。
どちらにしても、全国の家庭に定着させたのであるから、たいしたものだ。
節分の豆まきによく使われる落花生。 |
商業イベントを企画して成功させる手腕はたいしたものなのだが、果たして、それだけだろうか。
バレンタインデーにしろ恵方巻きにしろ、一般庶民はただ単にコマーシャリズムに踊らされているだけなのだろうか。
(1)歳時イベントが成功するには、そのイベントに楽しさが無くてはならない。
(2)家族にとって意味のあるものでなければならない。
(3)未来に明るい希望の持てるものでなければならない。
と、思いつくままに、イベントの成立条件をあげてみた。
恵方巻きをはじめ、バレンタインデーやひな祭りなどは、みな上記の(1)~(3)を満たしていると思う。
(1)そのイベント商品の消費量をみれば、多くの人々が楽しんでいることがわかる。
(2)家族ぐるみで参加して、家族の一体感を楽しめるものが多い。
(3)愛とか健康とか成長とか、将来に対する明るい願いが込められているものが多い。
と、このように私は考えている。
歳時のイベントは、商業主義に踊らされている部分もあるかもしれないが、自分たちの要求に従って自ら踊っている部分も少なくないのでは。
歳時イベントには料理がつきもの。
節分料理は、炒り豆(福豆)とかイワシ料理とか、クリスマスやひな祭りと比べると華やかさに欠けるように思われる。
だが、唐突な華やかさの出現では、とってつけた商業主義みたいで、多くの人々にはなじまないものになる。
そこで、大阪地方に伝わる既存の習慣が、華やかに演出された。
単なる太巻きが、節分料理の恵方巻きとして、ドレスアップしたのだ。
もはや恵方巻きの存在は、節分の料理に欠かせないものとなっている。
節分とは、厄払いの行事であるとともに、春の到来を祝う行事でもある。
祝い事を演出するには、華やかで美味しい料理が必要。
恵方巻きを中心とした華やかな節分料理が、節分イベントと私たち庶民との関わりを深めているように思う。