モヤヒルズのバックカントリーで冬山トレーニング
行程ライン(緑色線:行き 紺色線:帰り) 赤くて幅のある実線は、国道103号線。 |
空が曇っていて、青森市内から八甲田山が見えない。
悪天候の予報も出ていたので、今日は近場の雲谷峠(もやとうげ)で冬山トレーニングと決めた。
「雲谷峠」という、「峠」の文字が付く地名(山名)だが、このピークの直近を通っている峠道は無い。
萱野高原へ通じる国道103号線は、雲谷の山の西側、山頂より標高差が150メートルぐらい下を、この山を巻く形で通っている。
現在は、雲谷峠の麓に道があるのだ。
誰もこの道を峠道とは言わない。
峠と言うからには、昔の人は、標高553メートルの、この山を登り越えて、酸ヶ湯方面に向かったのだろうか?
だとすれば、ずいぶん険しい峠道になる。
上の地形図を見れば、「雲谷峠」が相当な難所だったことが分かる。
道の無い今は、「雲谷丘」とか「雲谷山」の呼び名の方がふさわしいように思える。
だが、「雲谷の山」をバックカントリースキーヤーのトレーニングの山として見れば、「雲谷の山」は、広大な八甲田山のバックカントリーへ挑むための越えなければならない「峠」なのだ。
ということで、「雲谷の山」は、私的には「雲谷峠」で良い、ということになる。
そういえば、2007年の秋に、モヤヒルズを通って、この「雲谷丘」の山頂に登ったことがあったっけ。
冬山山行と現場作業
山を歩きながら、ふと思いついた事がある。
冬山山行は工事現場の作業に似ている。
両方とも手順が大切。
手順を間違えば事故につながる可能性が大きいという事。
(1)作業計画を思い描き、計画と技術に見合った時間配分を行う。
(2)危険箇所と退避の方法を確認。
(3)装備と道具の点検、及び装備と道具を正確に効率良く使う。
(4)現時点の作業及び作業の経過が最良であるか、常にチェックしながら工事を行う。
(5)無理のない姿勢で作業し、怪我に注意して、安全の確認を怠らない。
(6)予期せぬ事態が発生した場合、常に最良の解決方法を見つける。
(7)工事を完了する。
出発地点からモヤヒルズを眺める。あたりは小雪に曇って暗い。山の左側が進行方向。 |
これを冬山のスキーハイキングにあてはめてみると。
(1)山行計画:目的地を決め、行程時間を検討し、入山時刻と下山時刻を決める。
(2)滑落や雪崩などの危険箇所を地形図から想定し、実際の山行ルートを決める。
(3)冬山装備と入山道具の点検。
体を冷やさないために、衣服の着脱など、衣類を機能的に使う。
スキーやスノーシューなどを正確に使用し、肉体疲労を極力避ける。
(4)ルートに誤りが無いか、常にチェックする。
(5)体に無理の無いスキー登行とスキー滑降を維持し、怪我防止の行動に専念する。
(6)アクシデントが発生しても落ち着いて対処し、最も安全な解決策を工夫する。
(7)安全な場所に下山する。
スキー場の外側の公園の中を雲谷峠に向かって進む。 |
9時30分にモヤヒルズのスキー場下の駐車場所をスタートし、雲谷の頂上到着が正午近くだった。
以前は、雲谷の山腹をトラバースぎみに登り、山頂到着を果たした。
登りが険しいのと雪が深いので苦労の連続だった。
今回は、林道跡を辿って、山頂から国道沿いに伸びている尾根に取り付き、その尾根を登って山頂まで歩く計画を立てた。
遠回りだったが、雪の深い山腹の登りを避けたので、体力的には楽であった。
それに、森の中を長く歩くのは嫌いではない。
尾根筋は、雪が風で飛ばされ、雪面が締まるので、スキーが沈まず、スキー板を運ぶ脚が楽だった。
カタクリコース(旧第3)の左脇から林の中へ |
林道跡を歩いて雲谷のバックカントリーへ。(後方、自トレース) |
緩やかな登りと下りが続く林道跡。 |
快適な林道ウオーキング。 |
林道を離れて尾根の斜面へ。 |
進むにつれて尾根の勾配がだんだん急に。 |
尾根の連なりの奥に雲谷峠の頂上が見える。 |
進行方向の左手に電線が現れる。国道のすぐそばの尾根を歩いている。 |
赤松の尾根。 |
やや開けた頂上直下の斜面。 |
雲谷峠山頂。 |
ランチは簡易雪洞の中で。 |
小雪も舞っていた。
そのため、山頂の吹き溜まりに横穴を掘って風を避け、ランチタイムと長い休憩。
時間と体力にゆとりがあったので、雪穴堀りが楽しめた。
これが遭難状態だったらどうだろうか、などという懸念は自然と湧く。
なにせ冬山トレーニングなのだから。
帰りの滑りは、山腹の深くて重い雪に難儀したが、慎重に滑って楽しむことができた。
モヤヒルズのバックカントリーは、冬山気分が味わえて楽しいところだ。
谷あり、幾筋もの尾根あり、林間あり、無立ち木の斜面ありで、いろいろあって、私みたいな未熟者の冬山トレーニングには適した山なのである。