青森市松原町会の盆踊り
会場の片隅を町会のねぶたで飾る。 |
松原町会の盆踊りが、松原町内にある県民生協「あじさい館」の駐車場で行われた。
降り出しそうな雨空だったが、開催中に雨は降らなかった。
松原町会製作の立派な「子どもねぶた」が盆踊り会場の一角を飾って雰囲気を盛り上げている。
人出もけっこう多い。
松原町会の子どもねぶた。 |
踊りが始まるまで、見物客たちは屋台に集まる。
フランクフルト、焼き鳥、ヤキソバ、かき氷と、夏祭り定番の屋台が並んでいる。
なかでも好評なのが「輪投げゲーム」。
お目当ての景品めがけて輪を投げ、その景品に輪をかけて景品を獲得するというゲーム。
これが子どもたちに大人気らしい。
オンラインゲームなどに夢中になっている今の子どもたちが、こんな素朴な遊びに列をつくるなんて。
列を見ると、親同伴。
自分の子どもに「輪投げゲーム」をさせて、その姿を見て喜んでいる大人たちがいるのだ。
いっときのノスタルジーに戯れる大人たち。
子どもたちが親に気を使って「輪投げゲーム」に打ち興じている、なんてことがあるのかもしれない。
わくわくしているのは、子どもよりも大人だったり。
屋台もいろいろ。 |
「輪投げゲーム」には長蛇の列。 |
やがて盆踊りが始まる。
曲名は「津軽甚句」、別名「どだればち」。
津軽地方の代表的な盆踊曲である。
浴衣姿の踊りの手本となるおばさん達が先陣を切る。
その後に、うろ覚えの者たちが、おぼつかない手つきでぞろぞろと続く。
踊りながら、それぞれの夏を見送る。
踊りながら、秋を迎える。
見送り迎える盆踊り。
輪を描きながら、巻貝の殻のようにぐるぐる回る。
回りながら、自身を一段上へ押し上げようとする。
踊っている人たちが、だんだん宙に舞いあがっていくような。
盆踊りには、そんな幻想がお似合い。
本日のメインイベント、盆踊りが始まる。 |
途中で、近所の焼肉屋に寄って生ビール。
店内にまで盆踊り曲が流れ込んでいる。
店内に居合わせた客たちの会話が、輪を描きながら盆踊りの曲に吸い込まれていく。
そういえば「盆」という言葉には「輪」という意味がなかったろうか。
ううん、たぶん無い。
にぎやかな焼肉店の、満員の客に埋もれて、独り会話する。
帰りに盆踊り会場を通ると、もうそこはもぬけの殻。
ぽっかりと空いた空間は、秋風が吹くただの駐車場だった。