海辺の荒地にひっそりと咲いているオトギリソウ

オトギリソウ。


青森市の新中央埠頭の空地で、ひっそりと咲いているオトギリソウを見かけた。
オトギリソウは漢字表記では「弟切草」となっている。
弟切草には伝説がある。

その昔、薬草を使って鷹の傷を治すことで有名な鷹匠の男がいた。
彼は、その薬草の名を他人には教えなかった。
男には、お人よしの弟がいて、その弟が薬草の名を他人に教えてしまった。

それを怒った兄は弟を切り殺してしまったという。
弟の恋人も、弟の後を追って自殺したという伝説。
無慈悲な兄が弟を切ったとき、庭に栽培していた薬草に弟の血が飛び散って、それが薬草の花や葉の黒点として残ったそうな。
それでこの薬草は、「弟切草」と呼ばれるようになったとか。

では、オトギリソウと呼ばれる前の名前は?
オトギリソウの別名として、「「ヤクシソウ(薬師草)」や「アオグスリ(青薬)」などがあげられている。
いかにも薬草っぽい名前というか、薬草そのまんまではないか。
これでは、弟が漏らすまでもなく、すでに薬草として広く知られていたのではと勘繰りたくなる。

もしやこれは、兄の横恋慕なのではあるまいか。
弟の恋人に激しい恋心を抱いていた兄は、弟から恋人を奪うために、口実を作って弟を殺害してしまった。
この「愛憎劇」のほうが、「漏洩劇」よりも説得力がありそうだが、これはあくまでも私の勘繰り。


オトギリソウの花と葉。


オトギリソウは5弁花の黄色い花。
茎の先端に花がつき、少し下から横枝が出てその先に花がつくという典型的な集散花序。
花の直径は、15~20ミリぐらい。
花びらやガク片に黒い点や線がついているのが特徴である。
雄しべは花の基部から噴水のようにたくさん出ていて、その中心に雌しべがある。

葉は写真の通り細長い楕円形で、葉柄が無く、茎を抱くように対生している。
葉の先端は丸い。
葉にも黒点が多く、全縁に沿って並ぶように付いている。
草の高さが30~60センチの多年草である。

他の花ではなかなか見られないこの黒点が、恐ろしい伝説の元となっていると思われる。
海辺の荒地にひっそりと咲いているオトギリソウは、そんな伝説を知らぬげに海風に揺れている。


雄しべが多いオトギリソウ。蕾を見るとガク片が確認できる。典型的な集散花序。


オトギリソウの葉。十字対生。

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