雑談散歩

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キノコ採りは、山岳遭難や食中毒を伴う危険な遊び

今年の青森市周辺の山では、ナラタケが大豊作。
そのおかげで、キノコ採りの入山者が増大しているという。

平日でも、八甲田山周辺の山岳道路には、キノコ採り達の路上駐車が多く、交通の妨げになっている程だと、知り合いのトラック運転手が言っていた。

「道路脇の空き地に駐車してくれればいいものを、面倒くさいから路上駐車しているんだ。」と憤懣顔。

10月に入って、キノコ採りはピークを迎えている。
路上駐車もピークらしい。

それに伴って、山岳遭難事故も増えているようである。

「キノコ採り遭難」というキーワードでネット検索してみると、この時期は大量にヒットする。
  1. 「またキノコ採りで遭難」
  2. 「キノコ採り中に遭難し死亡」
  3. 「キノコ採り遭難非常事態」
  4. 「止まらないキノコ採り遭難」
  5. 「キノコ採り遭難相次ぐ2人死亡」
  6. 「キノコ採り男性(68)が行方不明」
などなど。

死亡事故の大半は高齢者。
崖から沢へ転落して死亡したり。
急斜面で足を滑らせて滑落し、頭部を強く打って死亡したり。
山の険しい地形に、体力的に対応できなくなったお年寄りの死亡事故が目立つ。


【ヒメアジロガサ。ウィキペディアより転載。】


しかし「キノコの事故」は、山中での高齢者に限られてはいない。
自宅での有毒キノコによる食中毒事故もあるのだ。

野生のキノコは、スーパーで売られている栽培物よりも味が濃くて美味しいと言われている。
おまけに無農薬だからヘルシー。

しかし、農薬よりも強い毒を持つキノコがたくさん存在することを肝に銘じなければならない。

私が採るキノコの主なものは、ナラタケ(サモダシ)、ナメコ、エノキタケなど。
これらによく似た猛毒キノコに、コレラタケやヒメアジロガサがある。

ところで私は、山でコレラタケやヒメアジロガサを見かけたことが無い。
猛毒キノコのドクツルタケはたくさん見かけるのだが。

私がキノコ採りの参考書のひとつにしているものに、有限会社グラフ青森発行の「青森のきのこ」がある。
この本には青森のキノコが網羅されているはずだが、コレラタケもヒメアジロガサも掲載されていない。

ひょっとしたら青森市周辺には、コレラタケやヒメアジロガサは発生していないのではと思ったりしている。
これらのキノコに、北限があるのかどうかは知らないのだが。

今は見かけないが、将来にわたってずっと出ないでいるとは限らない。
それに、これらのキノコは猛毒を持っているから、いつでもどこでも、いかなる場合でも厳重注意のシロモノなのだ。

コレラタケとヒメアジロガサに共通の毒は、アマトキシン類というもの。
これは、ドクツルタケにも含まれているという。

アマトキシン類の特徴は、ウィキペディアの「α-アマニチン」のページによると、以下の通り。
  1. 毒素は熱に対して安定。一般的な加熱調理では分解されない。
  2. 毒素は遅効性である。症状が現れた際には、摂取した毒素の大部分が生体内に吸収されているために対処が困難である。
  3. 重大な症状があらわれるまでに、摂取後24時間が経過することもある。
  4. 下痢と痙攣が最初の症状である。
  5. 一時的に症状が治まる偽回復期がある。
  6. その後、4~5日の間に肝臓と腎臓の細胞を毒素が徐々に破壊することで重篤な機能障害を引き起こす。
  7. 中毒者のうち約15%は、腎不全、肝不全、昏睡、呼吸困難などが進行し約10日で死亡する。
  8. 全中毒者の5割は最終的に死に至るが、それ以外の場合でも後遺症が残ることが多い。
  9. この毒素に対する解毒剤は無い。
こんな毒を持ったキノコは、間違えても食べてはいけない。
皮肉なことに、コレラタケやヒメアジロガサの味は、少々の苦みを感じることがあるものの美味しいと言われている。
これでは、手遅れになる中毒者が出るのも無理は無い。

これであなたにも、キノコ採りが山岳遭難や食中毒を伴う危険な遊びであることがお解りいただけたと思う。
危険を回避する方法は、キノコ採りに行かない、野生キノコをもらわない、野生キノコを食べないこと。
おまけとして、怪しげな山菜料理店には出入りしないこと。
これらのことを厳守すれば、一応キノコの毒からは無事でいられる。

野生のキノコは、美味しいものが多い。
山のキノコについて、食菌か毒キノコかをよく知っていればキノコ採りは楽しい。
山をよく知っていれば、キノコ採りは楽しいハイキングでもある。

その反面、キノコ採りには多くの危険が潜んでいることを忘れてはいけない。
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