青森市内にある霊泉、「さんない温泉」は温泉上級者好みの「奇湯」
今年3月末のハードな現場仕事で左肩がこり固まってしまった。
その「こり」がなかなかとれないので、久しぶりに「さんない温泉」へ。
さんない温泉は、腰痛によく効くという評判が高いから、肩こりが原因の肩痛にも良いのではと思ったのだ。
その効き目のほどは?
それは、今回一日だけではなんとも言えない。
肩が少々軽くなったような具合だが、気のせいか。
温泉治療は、しばらく通ってみないとわからない。
さんない温泉は、青森市の三内沢部にある天然温泉。
青森市の中心部から離れた場所に、林に囲まれてひっそりと建っている。
建物の入口の上に、「自然の霊泉長命を寿ぐ」という看板が掲げられている。
ここは自然の霊泉である。
長生きできることは、喜ばしいこと。
というような意味か。
ちなみに「霊泉」とは、不思議な効能がある温泉とのこと。
そのせいか入浴客は多い。
一昔前は旅館部もあって湯治場だった。
現在は温泉銭湯となっている。
また、一昔前は男女混浴だったが、現在は高くて厚いコンクリートの壁で全面的に浴槽が仕切られている。
往時の、古き良き混浴の面影はみられない。
お客は、三内地域の地元の人達がほとんど。
でも、遠くからやってくる熱烈なファンもいらっしゃるとか。
そういうファンの方は、さんない温泉を、青森市の秘湯と口々に言う。
秘湯とは、山奥にあって、交通の便が悪く、観光地として知られていない温泉のこと。
さんない温泉は郊外とは言っても人家の多い場所にある。
青森市の集合墓地である「三内霊園」と隣接し、近くには国内最大級の縄文遺跡「三内丸山遺跡」がある。
秘湯という立地条件ではない。
だが、雰囲気は秘湯的である。
特に夜は、世間に知られていないような、隠れ家的な雰囲気が漂っている。
でも、その割には利用客が多い。
驚くほど広い駐車場には、たくさんのクルマがとまっている。
効能が確かだから人気があるのだと私は思っている。
駐車場へ入ると、硫化水素系の匂いが立ち込める。
あたりは、青森市郊外の丘陵地帯。
火山があるわけではない。
火山群である八甲田連峰は、三内地域から23キロメートルぐらい離れている。
こんな場所に硫黄泉があるのか、と驚いてしまう。
ただ、有機物の分解で発生する硫化水素もあるので、火山地帯でなくても硫黄泉は存在すると言われている。
そういえば、青森市の旭町の地下道も硫化水素の匂いがする。
私のオナラも、ときどき硫化水素の匂いがする。
これは余談。
さて、さんない温泉の泉質は、脱衣場に掲げられた分析表によると、「含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(硫化水素型)」とある。
源泉の温度は、46.8度。
脱衣場には以下の内容の看板も掲げられている。
浴場の湾曲した天井が高く、奥が深い。
まるでドームへ入るような感じ。
右手に女性風呂との仕切り壁があるのだが、そのコンクリート壁が温泉成分に影響されてか、凸凹になったり黒っぽいシミ状のものが広がったりしている。
以前は、この壁はタイル貼りだったような記憶があるが・・・。
壁全体を眺めると、なにやら水墨画のような幻想画のような。
奇怪な抽象画のようにも見える。
この幻想画は、最初黒っぽく見えたのだが、よく見ると、かすかに赤や黄や緑が混じっていて、ますます想像力がかきたてられる。
黒っぽい岩陰から、何者かがこちらを覗き込んでいるような気配が感じられる。
予備知識なしに、いきなりこの浴場に入ったら、びっくり仰天は間違いなしだ。
大きな四角い浴槽に入ると、底がザラザラしていて足の裏がちょっと痛い。
お湯が不透明なので、ザラザラの様子は目視できない。
これも温泉成分による影響なのだろう。
源泉掛け流しだというお湯の温度は、私には適温に思えた。
湯船につかって天井を眺めると、さらにたまげる。
ドーム型の大きな天井を、黒い火の玉が長く尾を引いて飛び交っているように見える。
これも硫黄泉の影響なのだろうが、奇怪な印象は拭い得ない。
とにかく、さんない温泉は、濃い硫黄泉成分による劣化が如実である。
如実過ぎると言ってもいい。
如実過ぎて「奇怪」な雰囲気が濃厚である。
が、体が温まる良いお湯でもある。
冷え性気味の私は、お風呂に入っても肌が赤くなることは少ないのだが、さんない温泉のお湯では、すぐに赤くほてった。
ここのお湯は、それだけ血行を促しているのだろう。
肩痛に効きそうな予感。
しかし、浴室に長くいると、なにやら息苦しさを覚えた。
換気が良くない。
心配性な私が、硫化水素ガスを意識しすぎているせいなのかもしれないが・・・・。
浴室の窓を広く開け放したい気分にかられたが、他のお客さんの手前、それはためらわれた。
日本全国には「鄙びた温泉ファン」が多い。
そういうファンの方には、ぜひ一度入ってもらいたい温泉である。
建物は古びている。
特に浴室付近の、温泉成分による劣化がかなり激しい。
そういう「状態」を、「鄙びている」ととるか「汚い」ととるか「廃墟っぽい」ととるか。
私は上記3点、みな好みなのだが。
どうとるにしろ、このさんない温泉に入浴するには、相当の「覚悟」が必要である、と思う。
が、様々な温泉を体験し、場数を踏んでいる「温泉上級者」ならなんら問題が無い。
礼賛が飛び交うこと間違いなし。
ある意味、奇怪な温泉としての「奇湯」か。
ある意味、貴重な温泉としての「貴湯」か。
さんない温泉には、「奇湯」という呼び方が似合っている。
「秘湯」以上に「奇湯」。
青森市内にある霊泉、「さんない温泉」は温泉上級者好みの「奇湯」である。
現在の入浴料金は390円。
その「こり」がなかなかとれないので、久しぶりに「さんない温泉」へ。
さんない温泉は、腰痛によく効くという評判が高いから、肩こりが原因の肩痛にも良いのではと思ったのだ。
その効き目のほどは?
それは、今回一日だけではなんとも言えない。
肩が少々軽くなったような具合だが、気のせいか。
温泉治療は、しばらく通ってみないとわからない。
入口の上に「霊泉」の看板が。 |
青森市の中心部から離れた場所に、林に囲まれてひっそりと建っている。
建物の入口の上に、「自然の霊泉長命を寿ぐ」という看板が掲げられている。
ここは自然の霊泉である。
長生きできることは、喜ばしいこと。
というような意味か。
ちなみに「霊泉」とは、不思議な効能がある温泉とのこと。
そのせいか入浴客は多い。
一昔前は旅館部もあって湯治場だった。
現在は温泉銭湯となっている。
また、一昔前は男女混浴だったが、現在は高くて厚いコンクリートの壁で全面的に浴槽が仕切られている。
往時の、古き良き混浴の面影はみられない。
お客は、三内地域の地元の人達がほとんど。
でも、遠くからやってくる熱烈なファンもいらっしゃるとか。
そういうファンの方は、さんない温泉を、青森市の秘湯と口々に言う。
秘湯とは、山奥にあって、交通の便が悪く、観光地として知られていない温泉のこと。
さんない温泉は郊外とは言っても人家の多い場所にある。
青森市の集合墓地である「三内霊園」と隣接し、近くには国内最大級の縄文遺跡「三内丸山遺跡」がある。
秘湯という立地条件ではない。
だが、雰囲気は秘湯的である。
特に夜は、世間に知られていないような、隠れ家的な雰囲気が漂っている。
でも、その割には利用客が多い。
驚くほど広い駐車場には、たくさんのクルマがとまっている。
効能が確かだから人気があるのだと私は思っている。
駐車場へ入ると、硫化水素系の匂いが立ち込める。
あたりは、青森市郊外の丘陵地帯。
火山があるわけではない。
火山群である八甲田連峰は、三内地域から23キロメートルぐらい離れている。
こんな場所に硫黄泉があるのか、と驚いてしまう。
ただ、有機物の分解で発生する硫化水素もあるので、火山地帯でなくても硫黄泉は存在すると言われている。
そういえば、青森市の旭町の地下道も硫化水素の匂いがする。
私のオナラも、ときどき硫化水素の匂いがする。
これは余談。
さて、さんない温泉の泉質は、脱衣場に掲げられた分析表によると、「含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(硫化水素型)」とある。
源泉の温度は、46.8度。
脱衣場には以下の内容の看板も掲げられている。
「当温泉は、地下750メートルから汲み上げた源泉をまったく手を加えず、そのままの状態で温泉として皆様にご利用いただいている天然の霊泉です。温泉の含有成分の性質上、手や足に黒く鉄分が付着しますが人体に害はございません。時間の経過とともに化学変化をおこし自然消滅しますのでご了承下さい。」脱衣場からガラス戸を開けて、浴場に入るとたまげる。
浴場の湾曲した天井が高く、奥が深い。
まるでドームへ入るような感じ。
右手に女性風呂との仕切り壁があるのだが、そのコンクリート壁が温泉成分に影響されてか、凸凹になったり黒っぽいシミ状のものが広がったりしている。
以前は、この壁はタイル貼りだったような記憶があるが・・・。
壁全体を眺めると、なにやら水墨画のような幻想画のような。
奇怪な抽象画のようにも見える。
この幻想画は、最初黒っぽく見えたのだが、よく見ると、かすかに赤や黄や緑が混じっていて、ますます想像力がかきたてられる。
黒っぽい岩陰から、何者かがこちらを覗き込んでいるような気配が感じられる。
予備知識なしに、いきなりこの浴場に入ったら、びっくり仰天は間違いなしだ。
大きな四角い浴槽に入ると、底がザラザラしていて足の裏がちょっと痛い。
お湯が不透明なので、ザラザラの様子は目視できない。
これも温泉成分による影響なのだろう。
源泉掛け流しだというお湯の温度は、私には適温に思えた。
湯船につかって天井を眺めると、さらにたまげる。
ドーム型の大きな天井を、黒い火の玉が長く尾を引いて飛び交っているように見える。
これも硫黄泉の影響なのだろうが、奇怪な印象は拭い得ない。
とにかく、さんない温泉は、濃い硫黄泉成分による劣化が如実である。
如実過ぎると言ってもいい。
如実過ぎて「奇怪」な雰囲気が濃厚である。
が、体が温まる良いお湯でもある。
冷え性気味の私は、お風呂に入っても肌が赤くなることは少ないのだが、さんない温泉のお湯では、すぐに赤くほてった。
ここのお湯は、それだけ血行を促しているのだろう。
肩痛に効きそうな予感。
しかし、浴室に長くいると、なにやら息苦しさを覚えた。
換気が良くない。
心配性な私が、硫化水素ガスを意識しすぎているせいなのかもしれないが・・・・。
浴室の窓を広く開け放したい気分にかられたが、他のお客さんの手前、それはためらわれた。
日本全国には「鄙びた温泉ファン」が多い。
そういうファンの方には、ぜひ一度入ってもらいたい温泉である。
建物は古びている。
特に浴室付近の、温泉成分による劣化がかなり激しい。
そういう「状態」を、「鄙びている」ととるか「汚い」ととるか「廃墟っぽい」ととるか。
私は上記3点、みな好みなのだが。
どうとるにしろ、このさんない温泉に入浴するには、相当の「覚悟」が必要である、と思う。
が、様々な温泉を体験し、場数を踏んでいる「温泉上級者」ならなんら問題が無い。
礼賛が飛び交うこと間違いなし。
ある意味、奇怪な温泉としての「奇湯」か。
ある意味、貴重な温泉としての「貴湯」か。
さんない温泉には、「奇湯」という呼び方が似合っている。
「秘湯」以上に「奇湯」。
青森市内にある霊泉、「さんない温泉」は温泉上級者好みの「奇湯」である。
現在の入浴料金は390円。
ドーム型の浴場。 |