2016/08/15

つがる市の平滝沼公園で咲いていたツリガネニンジンの、淡い紫色が美しい

ツリガネニンジン
つがる市にある平滝沼公園で、ツリガネニンジンが一株だけ咲いていた。
平滝沼公園は、芝刈りが行われた後らしく、枯れたシバの畝が出来ている。

そんな原っぱに、刈り残された一株のツリガネニンジンが立っていた。
草丈は40センチぐらい。
なんとなくよれよれな姿。

ツリガネニンジンの草丈は40センチから1メートルにまで達するという。
背の高いものは、ほとんど刈られてしまったのだろう。
写真のツリガネニンジンをよく見ると茎が根元で直角に曲がっている。
何かの拍子で伏していたので芝刈り機の刃を免れたとみえる。
それが茎を曲げて起き上がって成長し花を咲かせたのだ。

ツリガネニンジンは、キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草。
根は真っ直ぐに地中深く伸びて、60~80センチに達するという。
このように地下に大きい根があるので、刈り取られても再生するらしい。
花期は8月~10月とされているから、この公園に9月の中頃に来たら、再生したツリガネニンジンの花盛りかもしれない。

花と蕾
平滝沼公園は、西側に広がる日本海から1.9キロメートルぐらいの位置にある。
標高は20メートルぐらいだが、高原のような雰囲気がある。
日本海の近くにあって、海からの強い風が吹き込むためだろうか。
厳しい自然環境がもたらす独特の雰囲気。

そんな雰囲気の原っぱに、ツリガネニンジンはよく似合っている。
頭を下げた淡い紫色の花冠は、夏と言うよりも秋を連想させる。
夏から秋への、季節の変わり目に花を咲かせる野草なのだろう。
うつむいた姿は、強い夏の陽光を避けているように見える。

名前にニンジンがついているが、野菜のニンジンの仲間ではない。
この草の長い根がチョウセンニンジンのように太く、花が釣鐘型なので、ツリガネニンジンと呼ばれるようになったとか。
目に見えない地下の根の部分を名前に加えるとは、昔の人は、この野草の根によほど興味を持っていたのだろう。
この根を天日で充分乾燥させたものを生薬として用いたという。
薬効は、咳止め、痰切り、喉の痛み止めとのこと。

釣鐘型の美しい花を眺め、花が枯れた頃に根を掘り出して薬草として利用する。
もしツリガネニンジンがこの地に古代からあった植物であったなら、この営みは、縄文時代から続いていたに違いない。
こういう実用的な野草の支えがなければ、縄文時代は一万年近くも続かなかったのではあるまいか。
自然を利用し自然に感謝する。
そういう精神文化が、豊かな自然に支えられて、子孫の繁栄とともに発展したのだろう。
平滝沼公園のすぐ近くには、亀ヶ岡石器時代遺跡と呼ばれている縄文時代晩期(紀元前1000年から紀元前300年頃)の集落遺跡がある。
そこから出土した「亀ヶ岡式土器」は、縄文文化を代表する造形美であるとされている。
特に精緻な文様や漆による赤彩などがある精製土器は、縄文土器造形の極致と言われている。

ツリガネニンジンは、そんな太古の昔から根を保って、繰り返し淡い紫色の美しい花を咲かせ、人とともに生き続けてきたのかもしれない。
縄文文化同様に、長い期間に変異や自然交配を繰り返しながら。

花は3個が輪生している。

釣鐘状の花冠。

茎についた柄の無い葉。3枚の葉が輪生している。

花冠の中。先の白い花柱(雌しべ)が、花冠から飛び出している。奥のほうに雄しべが5本見える。

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