雑談散歩

    山スキーやハイキング、読書や江戸俳諧、山野草や散歩、その他雑多なことなど。

広告

働き者なのに要領が悪い鵜の嘆き

「ああ、穫れない!」

「朝から潜りっぱなしなのに、一匹も穫れない。」

「う、う、うっ、鴨の野郎は、ちょくちょく獲物があるようだ。」

「やつらは、要領がいいんだ。」

「こんなに動き回っているのに、何にも穫れない。」

「潜って、浮かび上がる度に、鴨の野郎のニヤついた顔が見える。」

「さぞやこのオレを馬鹿にしていることだろう。」

「潜る事も、泳ぐことも、オレの方が1枚も2枚も上手なのに。」

「う、う、うっ、さっぱり、穫れない!」

「焦れば、焦る程無駄な動きをしているような気がする。」

「それは頭で解っているのだが、頭では見当がつかない。」

「ついつい、この優れた瞬発力と潜水能力と水泳能力に頼ってしまう。」

「でも、のろまな鴨の方が稼ぎが良いのだ。」

「これは、どういう事だ。」

「あいつの方が頭がいいのか。」

「う、うっ、オレは馬鹿なのか!」

「焦りは強くなるばかりだ。」

「ばかりだって、やっぱり馬鹿なのか、オレは。」

「う、まてまて、あわてて物が見えなくなってやしないか。」

「う、こういうときは、あっさり休憩だ。」

「う、う、う、うっ、それみろ、潜水の繰り返しでこんなに息が乱れているじゃないか。」

「これでは、酸欠で、脳まで血が回ってないかもしれん。」

「陸に上がって、羽根を乾かしながら、少し休もう。」

「ああ、それにしても、子ども達は腹をすかしているだろうなあ。」

「う、う、う、うっ、休んでなんかいられない。」

「う、働け!働け!」

「う、稼ぎがあがるまで、動き回れ」
Next Post Previous Post

広告