近所の居酒屋
時々、夜の街へ飲みに出かけることがある。
最近は、景気が悪くなって収入が減ったので、そう頻繁には出かけられない。
今夜は近場の、初めての居酒屋へ食事もかねて独りで行ってみた。
割と目立たない場所にある居酒屋で、近所でありながらその存在に今まで気がつかなかった。
国道から路地をちょっと入ったところの、ビルの一階に赤提灯が灯っている。
ひっそりとした感じの、割と好みの店の外観。
だが店内に入ると、中年の夫婦が、カウンターの中でそっぽを向いていて「いらっしゃい」も言わない。
ドギマギして、あんまり客慣れしていない感じである。
私が店に入ったとき、痩せて腕の細い奥さんが「あっ・・・・」とか一言、声を発したようだったが、私の気のせいか。
「あっ・・・・」は無いでしょう。
私の人相が、いくら悪くても。
カウンター席には常連客らしいアベックが一組。
店に入った私を見て、「この人、何しに来たのよ」的な目線を投げかけたので、かなりムカついた。
太って体格のいい若い男と、ちょい見可愛い若い女。
思うに、客慣れしていない経営者夫婦と内輪の常連客で成り立っているような、よくある仲良しお友達居酒屋であった。
なので、お友達以外は異星人。
私は「あっ・・・・」と言われるほどの特別異星人。
店が目立たなかったのは、それなりの理由があったのだ。
静かな地球で暮らしていきたいという経営者ご夫婦だった。
まあこんな店でも、ものは試しと思い、とりあえず生ビールを一杯。
お腹が空いていたので、何か食べ物をとメニューを見たが、好みのものがまったく無い。
こんな店に入ってしまうなんて失敗したなと思いつつも、大人なので、それを顔には出さない。
でも、出ていたと思う。
顔に出るタイプだとよく言われているからね。
その結果、人相が悪くなる。
生ビールに合うかもと、「ソーセージ炒め」を注文した。
出てきた皿の上のものは、油ギタギタで、とても不味い。
まさか、わざとじゃねえだろうな!
嫌がらせか!
看板に「家庭料理の店」とあったが、いったいどんな家庭やら。
「家庭料理の店」という看板は、「くそ不味い料理だけど、かんべんしてね」の隠れ蓑みたいなもんだろう。
「そうだろう、おまえら!」と心のなかで叫ぶ。
心のなかで叫ぶ癖があるから、私は人相が悪くなる一方だ。
それでも料金は、プロの居酒屋の料金なのだ。
ま、あんまり高くなかったけどね。
あんまり高くなかったけど、「こんなもんで金をとるんかい!」と、また心のなかで叫ぶ。
ダンナは、背の高い細面。
メガネが似合う、一見インテリ風。
青森の景気の悪さについて、若いアベックと意見を交換していた。
「青森はダメだね。」とインテリ。
「ダメさ、ダメダメ。」と太った若い男。
「ほんと、ダメよねぇ」と若い女。
「ダメ」の連発。
まるで、「ダメ」を私に向かって投げつけているみたい。
「ダメダメ」に「肥溜め」を連想してしまって、もうビールが不味い。
勘定を済まして店を出たが、「ありがとう」の一言もなかった。
今思うに、私は人相の悪い一見さんとして敬遠されたのかもしれない。
いや、きっとそうに違いない。
しかし、昔よく飲み歩いたものだが、こんな店は初めて。
こんな応対が「家庭料理」なのか。
自己防衛的なミーイズムとしての「家庭料理」。
それが「家庭料理」という看板の正体だった。
だから異星人は、「家庭料理の店」という地球防衛居酒屋には入らないほうがいい。
最近は、景気が悪くなって収入が減ったので、そう頻繁には出かけられない。
今夜は近場の、初めての居酒屋へ食事もかねて独りで行ってみた。
割と目立たない場所にある居酒屋で、近所でありながらその存在に今まで気がつかなかった。
国道から路地をちょっと入ったところの、ビルの一階に赤提灯が灯っている。
ひっそりとした感じの、割と好みの店の外観。
だが店内に入ると、中年の夫婦が、カウンターの中でそっぽを向いていて「いらっしゃい」も言わない。
ドギマギして、あんまり客慣れしていない感じである。
私が店に入ったとき、痩せて腕の細い奥さんが「あっ・・・・」とか一言、声を発したようだったが、私の気のせいか。
「あっ・・・・」は無いでしょう。
私の人相が、いくら悪くても。
カウンター席には常連客らしいアベックが一組。
店に入った私を見て、「この人、何しに来たのよ」的な目線を投げかけたので、かなりムカついた。
太って体格のいい若い男と、ちょい見可愛い若い女。
思うに、客慣れしていない経営者夫婦と内輪の常連客で成り立っているような、よくある仲良しお友達居酒屋であった。
なので、お友達以外は異星人。
私は「あっ・・・・」と言われるほどの特別異星人。
店が目立たなかったのは、それなりの理由があったのだ。
静かな地球で暮らしていきたいという経営者ご夫婦だった。
まあこんな店でも、ものは試しと思い、とりあえず生ビールを一杯。
お腹が空いていたので、何か食べ物をとメニューを見たが、好みのものがまったく無い。
こんな店に入ってしまうなんて失敗したなと思いつつも、大人なので、それを顔には出さない。
でも、出ていたと思う。
顔に出るタイプだとよく言われているからね。
その結果、人相が悪くなる。
生ビールに合うかもと、「ソーセージ炒め」を注文した。
出てきた皿の上のものは、油ギタギタで、とても不味い。
まさか、わざとじゃねえだろうな!
嫌がらせか!
看板に「家庭料理の店」とあったが、いったいどんな家庭やら。
「家庭料理の店」という看板は、「くそ不味い料理だけど、かんべんしてね」の隠れ蓑みたいなもんだろう。
「そうだろう、おまえら!」と心のなかで叫ぶ。
心のなかで叫ぶ癖があるから、私は人相が悪くなる一方だ。
それでも料金は、プロの居酒屋の料金なのだ。
ま、あんまり高くなかったけどね。
あんまり高くなかったけど、「こんなもんで金をとるんかい!」と、また心のなかで叫ぶ。
ダンナは、背の高い細面。
メガネが似合う、一見インテリ風。
青森の景気の悪さについて、若いアベックと意見を交換していた。
「青森はダメだね。」とインテリ。
「ダメさ、ダメダメ。」と太った若い男。
「ほんと、ダメよねぇ」と若い女。
「ダメ」の連発。
まるで、「ダメ」を私に向かって投げつけているみたい。
「ダメダメ」に「肥溜め」を連想してしまって、もうビールが不味い。
勘定を済まして店を出たが、「ありがとう」の一言もなかった。
今思うに、私は人相の悪い一見さんとして敬遠されたのかもしれない。
いや、きっとそうに違いない。
しかし、昔よく飲み歩いたものだが、こんな店は初めて。
こんな応対が「家庭料理」なのか。
自己防衛的なミーイズムとしての「家庭料理」。
それが「家庭料理」という看板の正体だった。
だから異星人は、「家庭料理の店」という地球防衛居酒屋には入らないほうがいい。