初冬の公園で色彩が薄らいでいく落ち葉
落ち葉。 |
まだ色彩が残っているが、これからだんだんと黒っぽい褐色の枯れ葉色に変わっていくのだ。
落ち葉の1枚1枚が言葉のように地面に散らばっている。
雄弁な季節が終わって、無言の冬に入るという落ち葉の言葉かも知れない。
じっと下を見て、言葉の葉を探してみたが、ついに見つからなかった。
落ち葉は言葉としての姿を現さない。
ひそひそと言う、落ち葉の言葉に耳を傾けると、「ありがとう」とも聞こえるし「さようなら」とも聞こえる。
どちらも別れの言葉のようだ。
うつむいて何かを言おうとしたら、言葉が落ち葉になってしまった。
色あせた言葉の落ち葉だ。
はらはらと口からこぼれて、あたりが静かになった。
少し黙ってみないか、と落ち葉が言っている。
少し黙って、本当とか嘘とか、そういうものでは無い言葉を探してみないか。
本当とか嘘とか、そういうものは腐る。
私たちは腐るけれど腐らない。
ありのままの言葉は、熟していく。
ありのままの言葉は知性の森を育てる。
ありのままとは難しいね。
いまあるありのまま。
刻々と変わっていくありのまま。
それを映しとるのが言葉だよ。
落ち葉がそう語っている。
万葉の昔から、そう語り続けてでもいるように。
2012年の、初冬の公園で色彩が薄らいでいく落ち葉だ。