落とし物は置き忘れもの

作業台の上に置き忘れていたカメラ。
カメラを紛失した、と思った。
犬の散歩に持ち歩いていたので、何かのはずみで落としたのかも知れない。

カメラを防寒着のポケットに入れて持ち歩いていたのだが、犬のウンチを始末するために屈んだ拍子にポケットから転がり落ちたのか。
あるいは盗難にあったのか。
えてして人は、物をなくしたときに最悪の事態を空想してしまいがちだ。

被害者意識の強い人ほど、その傾向が強い。
被害者意識の強い人は、自身の行動を省みることもなく、すぐに他人のせいにしてしまう。
被害者意識という「意識」が盲点をつくってしまうのだろう。

私も、そうなのだが・・・・・。

犬の散歩やハイキングに携行していないときは、カメラは、「おでかけバッグ」の中かクルマの運転席のどこかに置いている。
家の中の、いつもの「おでかけバッグ」の置き場所やクルマの運転席を丁寧に調べたが、見当たらない。

やっぱり、落としたのだ。
ところで私は、そんなに落とし物をするほうではない。
物を落とすなんて、滅多にしないのになぁと残念がりながら、カメラのことはあきらめた。

3日ほど経って、事務所の作業台の上に置かれていたカメラを発見。
やっぱり落としていなかったのだと安堵した。
事務所の作業台の上で、バックのなかの書類を探すためにカメラを取り出し、そのまま置きっぱなしにしていたようだ。

作業台には、ここ3日ほど近づいていないから、気がつかなかったのだ。
何かを探すために、あるもの(今回はカメラ)を移動する。
その「何か」は見つかったが、「あるもの」を移動したことを忘れてしまう。

「何か」が見つかったことによって心の負担が解消し、注意力が散漫になる。
よくある、物を置き忘れるパターンだ。
あとで、「あるもの」が無くなっていることに気付き、てっきり落とし物をしたのだと思い込んでしまう。

意識が移っていく道筋の傍らに、死角が生ずるのだろう。
日常生活の「錯覚の構図」だ。
その落ち入りやすい錯覚を、うまく方法化して人を騙すのが「詐欺」という行為なのかもしれない。

落とし物をしたと思っている「物」が置き忘れものであったということは、けっこうある。
意識も置き忘れたりする。
無意識に重要なものを決定してしまったり。
そうして、置き忘れた意識が詐欺の被害にあうのだろう。

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