さみしい鯉のぼりと「こいのぼり」の童謡
薄曇りの空に舞う鯉のぼり。 |
「こどもの日」の昨日は、曇ったり、晴れ間が覗いたり、雨が降ったりで、パッとしなかった。
振替休日の今日も、昨日と似たようなお天気。
鯉のぼりが寂しく風に舞っていた。
上の写真は、幼稚園の駐車場に掲げられた鯉のぼり。
たくさんの鯉のぼりで賑わっているように見えるが、空が曇天では冴えない表情だ。
「やねよりたかいこいのぼり・・・・」という童謡があって、その締めくくりは「おもしろそうにおよいでる」だ。
現在は、屋根よりも高い位置に掲げられた鯉のぼりを見るのは稀である。
だから「おもしろそうにおよいでる」ようには見えない。
連休前には、この幼稚園の園児たちが、そろってこの童謡を歌っていたのかも知れない。
現実のこの鯉のぼりは、延縄に引っかかった魚みたいで、ちっとも面白そうではない。
それが、肌寒い曇り空の下で、寒風の土ぼこりにふるえるように泳いでいる。
でも、「こいのぼり」の童謡は童謡としての世界を確立しているから、園児たちはそのファンタスティックな世界に身を置いているような気分で歌っているのだろう。
現実の世界が惨憺たるものでも、楽しい世界や美しい世界の歌を歌うことでちょっと気分が救われることもある。
このゴールデンウィークの悪天候はそんなに惨憺たるものでは無いが、楽しみにしていた子どもたちの落胆の程は伺い知れる。
人間は厳しい自然環境を文化でカバーしてきたから、子ども達もその「文化」で守られているのかも知れない。
寂しい鯉のぼりは、「こいのぼり」の歌を背景に、さみしいなりに精一杯子ども達の「うれしい気持ち」を守っているのだ。