桜の花の落下
落下した桜の花の「顔」。 |
花が丸ごと落下
今年の桜は、花の付きが悪いというのが話題になっていた。
咲いている桜の花の数が極端に少ないので、花の咲いた木にボリュームが無いとか。
寂しい開花だとか。
近所の公園でも、花ごと落下している桜の「顔」をよく見かける。
桜と言えば、花びらが風に舞ってヒラヒラと散る様子が風情があって良いと言われているのだが。
花が丸ごと落ちるのでは、何やら不吉な印象だ。
これは、今年の春の異常な寒さが原因だと論じている桜ファンも多い。
だが、寒いと、どうしてこうボタリと落ちてしまうのか、その訳を語る人はいない。
「こんなのは、訳がわからん」というのが、一般的な意見のようだから。
蕪村の落花の句
紅梅の落花燃ゆらむ馬の糞
上の句は、与謝蕪村の作。
蕪村68歳の頃の句であるという。
時代は天明3年。
天明2年から天明8年にかけて発生した大飢饉の最中。
天明の飢饉の被害は、東北地方を中心に広がり、莫大な数の餓死者を出したと言われている。
紅梅と馬の糞は馴染まない。
それをくっつけた蕪村の心境に、なにやら苛立ちのようなものを感じるのは私だけだろうか。
ムクドリやスズメのせい?
ムクドリをこの地方ではサクラドリと言ったりする。
ムクドリは、スズメもそうらしいが、桜の花の蜜を吸うために、花の裏側をかじってしまうらしい。
そういう光景を見た昔のこの地方の人々がムクドリのことをサクラドリと呼んだのかも知れない。
今年の春は、桜の花が少ないので、大勢のムクドリが数少ない桜の花に集中攻撃をかけた結果、桜の花ごとの落下が目立つのでは。
桜の木が、異常気象の何らかの影響で、桜の花を花ごと落下させているのか。
不作な桜の花に焦ったスズメやムクドリが、「今年の貴重な桜の花の蜜」をあわてて吸い漁ったのか。
どちらにしても、目立って多い桜の花の落下には、今年の春の異常な寒さが関わっていることは間違いない。
と、私は想像している。
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