雑談散歩

    山スキーやハイキング、読書や江戸俳諧、山野草や散歩、その他雑多なことなど。

津軽半島屏風山砂丘の最高地点「往古之木嶺(おこのぎながれ)」散策

案内看板
入口付近の案内看板。


往古之木嶺(おこのぎながれ)という名の、以前から気になっていた「山」へ散策にでかけた。
なぜ気になっていたかと言うと、名前が面白いから。
ただそれだけなのだが・・・。

屏風山は、津軽半島の日本海沿岸に、南北に連なる砂丘。
その砂丘の北側に、往古之木嶺(おこのぎながれ)がある。
この「山」は標高約79メートルで、屏風山砂丘の最高地点になっている。

高山稲荷神社線と呼ばれている県道228号線と、メロンロードという看板が随所に立っている屏風山広域農道との交差点を北上。
5〜6分クルマを走らせると左手に「往古之木嶺」の小さな看板が立つ間道がある。
そこを左折。

西に向かって1〜2分走ると、道路右手(北側)に上の写真の看板がある場所に着く。
看板の東側には、乗用車がギリギリ2台駐車可能なスペースがあるから、「この場所にクルマを停めてくれ」ということなのだろう。
「ここを進めば往古之木嶺に至る」みたいなハイキング標識は一切無い。


駐車場
駐車スペース。


山道01
山頂方面へ通じている踏み跡。


この東西に長い丘全体が「往古之木嶺」であるから、この看板のある駐車スペースにクルマを停めて、北側の森を「うーむ」と唸って眺めれば、「往古之木嶺」に来たということになるのだろう。
普通の人は、ここで引き返すのだが、「ナントカ」は高いところに登りたがる。
登る前に、看板の能書きを一読。

以下は看板からの抜粋。
『往 古之木嶺は、いわゆる往古、吹き荒ぶ西浜からの、飛砂が積もって形成された縦列砂丘であり、屏風山中、標高78.6メートルと最も高く、西浜で働く漁師 の、船からの格好の目印でもあった。また、藩政時代、権現岬、弁天崎とを結ぶ連絡用の狼煙台(ノロシダイ)でもあった。(津軽絵図に記)。麓には、鬼の相 撲取場があるとの伝承がある。 全国的に、鬼伝説のウラには鉄があると言われているが、ここは、砂鉄関連との見方が有力である(良質の窯用の粘土有り、砂鉄有り。鉄がご神体の鬼神社がある)。』
以上、抜粋終わり。

往古之木嶺(おこのぎながれ)の頂上らしき場所までは、この駐車スペースから北に向かってほぼ一直線に進む。
指導票は皆無なので、「主稜」まで、コンパスと踏み跡を見比べながら進むしか無い。
踏み跡(道)が明確な場所もあれば、カシワの枝に被われて不鮮明な箇所もある。
でも、歩きにくいことは無い。

ほとんど、薮こぎ無しで進むことができる。
注意深く進めば、道筋は見て取れる。
割とはっきりした踏み跡を2〜3分歩くと小さな尾根と交差する。
その尾根を過ぎると開けた谷のような場所に出る。


山道02
スタート地点の駐車場方面を振り返る。


山道03
開けた道のようなものもある。


一帯は、クロマツとカシワの混交林。林床には、マイヅルソウと思われるハート型の野草が多く見られる。
広い谷から北に向かって延びている不鮮明な踏み跡を登っていく。
傾斜はだんだんきつくなって、空が開けてきたなと思ったら往古之木嶺の主稜線に到着。

この場所の、一番高いところが頂上らしい。
駐車スペースから15分ぐらいの時間で到達できた。
頂上?は木が生い茂っていて、展望がきかない。
わずかに北西の方角に木の枝の隙間があって、日本海を垣間みることができた。

私が子どもの頃、津軽地方では、吹雪によってできた吹きだまりのことを「ナガレ」と言った。
これは私の思いつきだが、往古之木嶺(おこのぎながれ)の「ながれ」は、雪の吹きだまりの「ナガレ」と同義ではあるまいか。
強い西風で吹き飛んだ砂浜の砂が、丘にぶつかって砂の「ナガレ」が形成された。

昔、その丘の呼び名か、あるいは、この辺の土地の呼び名が「おこのぎ」であった。
であるから、この東西に長い砂丘は「おこのぎながれ」と呼ばれるようになった。
そんな気がする。
「往古之木嶺」という漢字は後からつけた当て字だと思われる。

例えば、ドイツを「独逸」と漢字表記したように、「おこのぎながれ」と言う「言い表し(音)」を「往古之木嶺」と書き表したのでは。
というのが、私の素人考え。

もっとも砂丘と言っても、そういう姿をしていたのは昔の話。
昔、この地を治める弘前藩が、砂丘の上にせっせと植林した。
そのおかげで、現在は森の形状をして、防風林の役割を果たしている。

もうひとつの素人考え。
近くの出来島海岸同様、昔、この丘の下にも「埋没林」が豊富だった。
この辺りの埋没林は約28,000年前のエゾマツやアカエゾマツの針葉樹が水没してできたものだと言われている。
まさに、昔のそのまた大昔の埋没林は、昔にとっても「往古の木」だった。
その「往古の木」の上にできた「ナガレ」だから「往古之木嶺(おこのぎながれ)」。
昔の人達がそう名づけて、そう書き表した。
という想像もできる。

青森県黒石市にも、浅瀬石川沿いに「おこのぎ(追子野木)」という地名があるが、その「おこのぎ」との関係は・・・などなど、想像は尽きない。

 さてさて、こうして山を訪ねて散策することは、想像を楽しむことでもあるのだね。
現実の山道をハイキングし、想像の時空をハイキングする。
気ままなハイキングだから、無知であることはご勘弁あれ。


山頂部
往古之木嶺山頂?山頂に立つ愛犬リリー。


マイヅルソウ
ハート形の葉のマイヅルソウ。
Next Post Previous Post

広告