桜の紅葉の先達
桜の葉の紅葉 |
今年の春は、天候の不順とかで、開花が遅れたソメイヨシノだったが、紅葉はどうだろう。
桜の紅葉は、イロハモミジのように、木の枝全体が一斉に赤くはならない。
写真のように、枝の各所で、ポツポツと数枚の葉が赤くなる。
最初に赤くなった数枚が、紅葉の先達となる。
これから、この木の紅葉が始まるぞ、と告げる案内係のようなもの。
やがて、一本の木のあちこちでポツポツと紅葉が始まる。
同時に、先に紅葉した葉は、順に落葉していく。
桜の紅葉は、枝についている時も良いが、落葉してからが、更に美しい。
しっとりとした地面の上で輝いている。
黄色から赤、赤から茶色への変化が美しい。
イロハモミジの紅葉は「集合美」だが、桜の紅葉は「固体美」と言える。
一葉一葉が、それぞれ独特の鮮やかな変化を表している。
イロハモミジの紅葉は青空をバックにして輝くが、桜の紅葉は地面に横たわって輝く。
地面の上で、自身の季節の最後を燃やしているようだ。
春には花で地面を敷き詰め、秋には赤い葉で地面を敷き詰める。
自身が立っている土への感謝だろうか。
こういう感情移入をさせる木だから、桜は日本人に愛されているのだろう。
桜の紅葉の始まり。 |
紅葉後、緑の芝草の上に落葉して、尚、輝いている。 |