雪降る前の街の色彩
黄色いボディーの除雪ドーザとドウダンツツジの赤い紅葉。 |
真新しい除雪ドーザは、「何時でも来い」 と雪待ち顔に黄色く光っている。
その向こうの、隣接する公園を囲んでいる生け垣の、ドウダンツツジの赤が鮮やかだ。
除雪ドーザの黄色とドウダンツツジの紅葉の赤との対比が、何やら晩秋的で面白い。
雪の季節になると、紅葉は徐々に消滅する。
ドウダンツツジの紅葉は、消滅する炎の、最後の燃え盛り。
街に、一面に白い雪が降れば、黄色に塗られた除雪機械類が活躍するようになる。
ドウダンツツジの紅葉の赤が消える頃に、人々の赤い防寒着が目立ち始める。
色彩が、自然から人へと伝染しているようだ。
自然が色を失うと、冬の寒さに対抗するウェアの色彩が鮮やかさを増していく。
黄色に輝いていた銀杏の葉が姿を消すと、どこからともなく、黄色い除雪機械類が忽然と姿を現す。
だから、街に、色彩の無い季節は無い。
人々の雑談にも色模様が踊り出すようになる。
そうやって、おしゃべりも着る物も、色鮮やかに塗り替えながら、北国の人々は冬を迎えるのだ。
雪降る前の街の色彩が、パワーアップして雪の季節へと押し寄せる。
ショッピングセンターのウィンドウが、この季節に、一斉に鮮やかになる。
人々の購買意欲が、この時期ほど、色彩を求めることは無いのでは。
生き方のなかで、色の選び方が大きな部分を占めているみたいに。
雪の色は、いろいろな色彩を鮮明にするために白いのだとしたら、雪国の街は 、もっと色づかなくてはいけない。
真新しい除雪ドーザの鮮やかな黄色。 |
鮮やかに赤く紅葉したドウダンツツジ。 |