冬、終わる(4枚の組み写真)
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去りゆく冬をテーマに、素人の「組み写真」。
それぞれが、冬の記憶を追いながら、突然の、春の出現に出くわす。
そういう4枚の組み写真。
(1)雪に埋もれた南国の置物。
(2)散らない枯葉。
(3)雪の上に座り込んだ犬の眼差し。
(4)除雪車の休息。
夏の終わりは、秋の到来につながる。
グラデーションのように少しづつ色を変えて。
でも、冬の終わりは、春の到来にはつながらない。
冬は少しづつ姿を隠して、そのうちに忽然といなくなる。
春は、どこか遠いところから、のらりくらりとやってくる。
いつの間に、春と冬がすれ違ったのか、人々は気づかない。
夏から秋へとつづくような、空の変化も無しに。
「・・・・・その秋から春にかけての出来事のすべてが、まつたく初めからをはりまですこしの隙もなく暗く冷却した冬の色に塗られてしまつてゐるのだが、・・・・・」
阿部知二「冬の宿」より抜粋。