植木職人が地下足袋を履く理由

植木職人
地下足袋で足元を固める植木職人。


犬の散歩の途中、植木屋さんが庭木の剪定作業をしているのを見かけた。
歩道に専用脚立を立てて、ブロック塀の外にはみ出た枝を切りながら、庭木の立ち姿のバランスを調整している作業風景。
植木職人の足元が、丈の高い地下足袋でキリリと締まっている様子がカッコイイ。

一般に、植木職人の地下足袋は、膝下ぐらいまで届く長めのものが多い。
コハゼにして7枚~12枚ぐらい。
登山靴では、アッパーの部分が上へ伸びて、踝あたりを被うタイプを、ハイカットと呼ぶが、地下足袋では、何と呼ぶのだろう。

ハイソックスタイプと言っているメーカーもあるようだが、あまりピンとこない。
イメージ的には「脚絆合体型地下足袋」。
靴の長いのが長靴なら地下足袋は、長地下足袋か?

呼び名はともかく、地下足袋の形状は職種によって違うようだ。
植木職人が履く地下足袋同様、鳶職人が履く地下足袋も長めのものが多い。
近頃ではその鳶職人も地下足袋を履かなくなった。
その理由は、昔みたいな丸太足場が無くなったこと。

そして、大手ゼネコンの工事現場では、安全管理上、地下足袋の使用を禁止していることが多いから。
大手ゼネコンの建設現場では、ビティ足場がほとんどで、鳶職人は鋼製布板の上で作業をするから、安全靴の着用が義務づけられているとか。
だが、いろいろな作業現場で、地下足袋を愛用している鳶職人や作業員を多く見かけるのも事実だ。


脚立を登る。

ブロック塀と脚立に同時足掛け。

植木職人が地下足袋を愛用する理由

地下足袋は、ヒモ締めの作業靴と違って、着脱が面倒。
コハゼをヒモ(受け糸)に通すのは、慣れていないとかなり手間取る。
それなのに、植木職人は圧倒的に地下足袋派が多い。
いや、地下足袋でなければ仕事にならないのだ。

その理由は、以下の通りだと思う。
(1)庭木の枝や幹に足をかける場合、地下足袋の底が柔らかいので、庭木を傷つけない。
(2)長靴やスニーカーと違って、脚部全体にフィットして動きやすい。
(3)専用脚立(園芸用アルミ三脚)の踏み面がパイプ状なので、足指を使える地下足袋の方がホールド(固定)しやすい。
(4)庭木の枝に足のかけて作業する場合も、足裏で枝を掴むようなホールドが出来る。
などなど。

足袋は、日本伝統の履物。
足袋を屋外作業用にアレンジした地下足袋も日本独自の履物である。
日本の庭には、日本独自の美意識で造られた日本庭園の影響を受けているものが多く見かけられる。
植木職人(庭師)は、日本独自の文化に接する「儀礼」として、地下足袋を愛用している人が多いのでは、と思うのは私の思い過ごしだろうか。
「儀礼」とは、もちろん、聖なるもの(日本の伝統)に接する慣習的な行為のこと。


脚立のパイプの上で足を踏んばる。

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