街の草紅葉、路傍のエノコログサ
エノコログサの草紅葉。 |
道端でエノコログサが紅葉している。
路傍の草紅葉。
よく見ると、鮮やかな色合い。
秋が深まって、いろんな野草が、どんどん草紅葉している。
エノコログサの草紅葉も、なかなか良い。
瓶洗いのブラシのような花穂。
その穂の、毛の先まで渋い赤色で染まっている。
素朴で可憐。 |
エノコログサはイネ科の植物。
日本中、どこでも見かける野草である。
猫じゃらしのような草の姿は、多くの人におなじみ。
だが、その本名を知っている人は意外と少ない。
穀物の粟の原種と言われているから、エノコログサも立派な穀物だ。
種子の部分を丁寧に脱穀すれば、食用になる。
昔、飢饉の時に、貴重な穀物として食べられていたらしい。
うまいかどうか、その味は、食べたことがないからわからない。
うまかったら、きっと今でも重宝されているはず。
飢饉の時の「お助けマン」は飽食の時代には見向きもされない。
作物不作の年でも生えていたのだから、かなりの繁殖力を持っている草なのだろう。
現代でも、危機的な飢饉の年が来ないとは限らない。
そのとき、どこにでも生えるこの草が、多くの人達の命を救うことになるかもしれない。
そう考えることは茶番だろうか。
鮮やかな色合いの穂の紅葉。 |
エノコログサのアイヌ名はチャッペだそうだ。
チャッペとはアイヌ語で猫のこと。
この草を「猫じゃらし」と言ったりするから着眼点は同じ。
そういえば、私の出身地の方言で、猫のことをチャッペと呼んでいた。
西津軽地方の方言にはアイヌ色が強い。
でも、エノコログサのことをチャッペ草とは言わなかったなぁ。
花穂が毛虫に似ているから、ゲジゲジ草と呼んでいたような・・・・。
花穂をもぎ取って、手でニギニギすると、毛の弾力のせいで花穂が握った手の上方へ這い上がる。
そんな遊びをアイヌの子ども達もしたに違いない。
世界に広く分布して、どこでも見かける草には、いろんな生活を連想させる雰囲気を持っている。
飢饉のお助けマンだったり、子どもの遊び道具だったり。
そんな、いろんな生活の目撃者だったり。
身近な草は、そういう雰囲気を持っている。
道端の草紅葉。 |