「山は暮れて野は黄昏(たそがれ)の薄(すすき)かな」与謝蕪村
暮れかかる晩秋の山。 |
晩秋の山は早い時刻から暮れかかる。
山から下りて、山の方を振り返ったら、まだ陽は沈んでいないが、山は暗くなりつつあった。
背後の山が暮れていくのを感じながら、山麓の野を歩く。
黄昏の野に、ススキが黄金色に輝いている。
この温かそうなススキの薮に潜り込んで、一晩過ごそうか。
ススキ野。 |
山は暮れて野は黄昏の薄かな
与謝蕪村
絶望感が薄れて、ほのかな希望が湧いてくる。
与謝蕪村
行くあても、泊まる宿もない旅。
背後から、ものさびしい闇が追ってくる。
やがてススキ野も、暗闇にとざされてしまう。
絶望にも似た焦燥感。
暗いススキ野の中で凍え死んでしまうのではないかという不安。
里へ下りれば人家があると思ったが、灯りも見えない。
山を下りる途中、朽ちた小屋を見つけた。
あの小屋にとどまるべきだったと思っても、もう遅い。
暗くなった山へもどるのは、ススキ野にいるよりも恐い。
暮れていく原野で呆然としている旅人の、平穏を失った心。
蕪村は、こういう心境を句にしたのでは無いかも知れない。
が、こういう状況に陥ったら、どうするか。
さらに、周囲のススキをナイフで刈り取って集める。
それをドームの壁に縫うように差し込んで、幾重にも補強する。
これで、雨が降っても大丈夫。
断熱効果もあるし。
ドームの奥にススキを敷き詰めて、寝床をつくる。
石を集めて炉をつくり、枯れ木を集めて、ちょろちょろ燃やして暖をとる。
人心地ついたところで、俳句を詠む。
山は暮れて野は黄昏の薄かな
こんな遊び心が無ければ、旅はやっていけない。
暮れ方に時雨れ。
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