店舗の屋外壁面に、作業員がサインプレートを、脚立を足場にして取付。
冬場の作業なので、地面は積雪状態。
脚立を立てる場所の雪面は、何度も固く踏みしめた。
作業中に何気なく脚立をずらしたところ、脚立の一本の脚が踏み固めた場所から外れる。
おまけに、脚立の天板に立っての作業。
作業中、体重心がずれて、脚立の一本の脚が、踏み固めていない雪中に潜り込む。
脚立が転倒し、作業員が転落。
脚立の高さは、約85センチ。
転落時、作業員は、右肩を雪面に打ち付けたが、頭部や腰は打っていないもよう。
右肩が軽く痛む程度の被災だった。
骨折や脱臼は無し。
そのまま、作業を続け、支障なく仕事を終了。
翌日になって右肩の痛みが少し増したが、日常業務にさしさわるようなことは無かった。
上記にあげた事例は、実は昨日の私の事故。
幸いなことに怪我が無くて済んだ。
低所からの転落災害でも、死亡事故はある。
北野建設株式会社長野北和会安全管理委員会のサイト、安全資料のページの災害事例の項目をクリック。
開いたページに「低所からの転落事故(1)」というPDF書類がある。
その中に、下記のショッキングな事例が記載されている。
被災者(造作大工66歳、経験51年)は、個人住宅新築工事で、和室の壁に長押を取付けていた。
作業中、三尺脚立(85センチ)の天板から仰向けに転落。
頭部を打撲した作業員は、事故の2日後に死亡した。
このときは、保護帽(ヘルメット)を未着用とのこと。
私もヘルメット未着用。
幸い、頭部の打撲は無かった。
転落時に肩を打ったが、冬場の厚着で、衣類がクッションになって衝撃をやわらげたようだ。
地面はコンクリート面ではなく、通行人の足で踏み固まった雪面。
これも多少のクッションの役割を果たしたと思う。
注意力の不足が招いた事故だと大いに反省。
特に脚立の天板に立つことは、作業者自体がバランスを崩しやすいので危険である。
どうして脚立の天板に立つとバランスが悪いのか。
それは、天板の面積が狭いので、作業者は両脚間を狭めて揃えた状態で立たなければならないから。
極端に言うと、直立不動の姿勢は、脚を広げた姿勢よりも転倒しやすい。
ところで、脚立の天板に立つことは、「労働安全衛生規則」で禁止されているとよく聞く。
で、ちょっと調べてみたが、「脚立の天板云々」の規則は見あたらない。
以下は、労働安全衛生規則第528条の抜粋。
第五百二十八条
事業者は、脚立(きやたつ)については、次に定めるところに適合したものでなければ使 用してはならない。
(1)丈夫な構造とすること。
(2)材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。
(3)脚と水平面との角度を七十五度以下とし、かつ、折りたたみ式のものにあつては、脚と水平面との 角度を確実に保つための金具等を備えること。
(4) 踏み面は、作業を安全に行なうため必要な面積を有すること。
とあるように、脚立の細かい使用方法についての言及は見あたらない。
「脚立の天板に身を載せてはいけない」は、各脚立メーカーが、自社製品の安全使用のために掲げている使用条件である。
工事現場の安全管理者は、メーカーの安全使用基準に基づいて、脚立の天板上での作業を禁止している。
私のような個人事業者は、作業員であると同時に、自己の安全管理者。
いや、全ての現場労働者は、作業員である前に、自己の安全管理者であるべきかもしれない。
そうでなければ、自身の人生において、大きな損害を被ることになる。