青森県南津軽郡田舎館村の村おこしイベント「田んぼアート」は大成功
道の駅「いなかだて」施設内の第二会場。スターウォーズのC-3PO(左)とR2-D2(右)。 |
田んぼアートとは、青森県南津軽郡田舎館村で始まった村おこしイベント。
水田に数種類の色合いの稲を植えて、田んぼ上に巨大な絵や文字を描く取り組みのこと。
5月の田植えから、10月の稲刈りまで続くイベントである。
春の田植えと秋の収穫には「体験ツアー」として一般の人が参加できる。
春の田植えと秋の収穫には「体験ツアー」として一般の人が参加できる。
なお、参加には「申込み」が必要とのこと。
第二会場はスターウォーズ。BB-8 が描かれている。 |
今年は待望の新作が公開される「スターウォーズイヤー」。
第二会場では、この題材が選ばれている。
田舎館村の田んぼアートは1993年に始まった。
初めは単純な図柄だったが、年々描画技法が高度になってきている。
緻密な描写とスケールの大きさ。
その発展の様子を、会場に展示されているパネルで見ることができる。
始められた当初の会場は、田舎館村役場裏手の田んぼだったが、2012年からは、道の駅「いなかだて」施設内の田んぼが第二会場として登場した。
この企画が全国的に話題になり、見物にいらっしゃる観光客も増えたので、会場を増設したという。
従って、田舎館村役場の方は第一会場となる。
第一会場と第二会場は約3㎞離れている。
「スターウォーズ フォースの覚醒」のロゴ。 |
2010年以降、この催しが全国に広がっているが、その規模と技法で田舎館村を越えるものは、いまのところ出ていない。
正真正銘の「元祖田んぼアートの村」だけに、田んぼアートではダントツトップなのである。
この田んぼアートの「鑑賞」は、ふたつの会場とも高所にある「展望台」から見下ろすことになる。
第一会場は、役場庁舎に隣接している田舎館村文化会館最上階の展望台。
第二会場は、道の駅「いなかだて」施設内に建設された「弥生の里展望所」。
入場料は各会場200円ずつ。
入り口付近の券売機からの購入になる。
色のついた石を配置して作った高倉健さんの似顔絵。 |
上の写真は去年亡くなられた国民的スター高倉健さんの似顔絵。
色のついた石を敷き詰めて描かれている。
田んぼアートを応用した石ころのアートである。
こんな取り組みは今年が初めて。
観光客が増えるにしたがって、いろんな企画の登場が予測される。
第2田んぼアートで使われている稲の品種の説明ポスター。 |
田んぼアートに使われている稲の種類は、配布されたチラシによると以下の通り。
- つがるロマン:緑
- 紫大黒:紫
- 黄大黒:黄
- 緑大黒:緑
- ゆきあかね:白
- べにあそび:赤
- あかねあそび:橙
- 晴天の霹靂:緑
- 紫穂波:紫
- 赤穂波:赤
- 青系赤174号:白
このうち食用の稲は、「つがるロマン」と「晴天の霹靂」だけ。
残りは観賞用の稲。
第二会場「弥生の里展望所」。曇天にも関わらすたくさんの見物客が並んでいる。 |
田んぼアートは、生育している稲で構成されているから、初夏から秋にかけて、少しずつ色が変化する。
7月中旬から8月中旬ごろまで、稲が成長して色彩が鮮やかになるので、この時期が見ごろである。
ぱっと見ると毛染めのような印象を持つが、これは、自然の植物自身が発している色彩。 |
「鑑賞」は高い位置にある展望所から斜めに見下ろす形になる。
そのため、田んぼアートの図柄は、その位置でちょうどよく見えるための工夫が施されている。
真上(上空)から見ると、かなり縦長の絵になっている。
展望所から眺めると、絵柄が田んぼから立ち上がって見えるところが素晴らしい。
それがすべて、植えつけられた一本一本の稲で成り立っているのだから驚きだ。
色の異なる稲を植え分けてある。 |
こんな大胆な企画を、どなたがどんな発想で発案されたのか。
そしてこの大成功に至った苦難の道のりは、いかなるものだったか。
私としては、その辺にも興味があるのだが、そのことを叙述したものは展示されていないようである。
去年の来場者はふたつの会場の合計で29万人だったという。
もうすっかり人気イベントとして定着している。
道の駅「いなかだて」の近くには、北限の弥生時代水田跡である「垂柳遺跡(国史跡)」がある。
ここは、北方稲作文化発祥の地と言われている。
また、現在においても、田舎館村は米の反収日本一に何度も選ばれているという。
田舎館村は、稲作文化の発展の上に出来上がった稲作生活の「コミュニティ」とも言える。
そんな村だから、「稲コミュニティ」の中から自然発生的に生まれたイベント企画なのかもしれない。
今や、世界的にも有名になりつつある田舎館の田んぼアート。
その土壌は、太古の昔から耕されていたのだろう。