雑談散歩

    山スキーやハイキング、読書や江戸俳諧、山野草や散歩、その他雑多なことなど。

よく見れば、街の片隅でアカソが生い茂っていた

アカソ
犬の散歩の途中で、よく見かける草。
葉の感じからイラクサの仲間だろうとは思っていたが、花が咲いていたので調べてみた。

ヤブマオ、アカソ、コアカソ、クサコアカソの四つが候補に。
すべてイラクサ科である。

イラクサ科と言えば、このブログでよく話題にするウワバミソウ(ミズ)も同じ科。
垂れた葉の様子が、どことなく似ている。
アカソ
花を拡大。
図鑑によると、コアカソは草本ではなく、落葉小低木となっている。
葉は菱状卵形で、葉の先端が尾状に長く尖っているところが写真の植物によく似ている。
葉の縁にある鋸歯(きょし)の山の数は10対(つい)以下である。
写真の植物の鋸歯の山は10対以上。
よって、この植物はコアカソでは無い。
アカソ
アカソの藪。葉先がすべて3裂している。
ヤブマオもよく似ているが、葉の形が違う。
ヤブマオの葉の形は丸っぽい卵円形。
写真の植物の葉は3主脈がすごく目だっている。
ヤブマオの葉脈は、もっと細かく分かれている。
それにヤブマオは、茎も葉柄も写真の植物ほど赤っぽく無い。
よって、ヤブマオとも違う。
アカソ
3裂した葉先。
では、クサコアカソなのか?
クサコアカソは、写真の植物に実によく似ている。
茎も葉柄も赤い。
だが、葉の形が少々異なる。
クサコアカソの葉は、小さくて卵状楕円形。
葉先は尾状に尖っていて、写真の植物と違う。

で、最後に残ったのがアカソ。
アカソの葉は広卵形で、葉先は3裂している。
中央裂片の先は尾状に尖り、3主脈が目立つ。
葉の縁は、先に行くほど鋸歯の山が大きくなっている。
この葉の特徴が、写真の植物とピッタリ。
よって、この野草をアカソと同定した次第。

似て非なるものは、今回のように、草の世界に多い。
でもよく見ると、その違いが見えてくる。
草をよく見るということが、野草の世界を楽しむ方法。

よく見るためには、花弁のことや葉のことや茎のことを、もっと知る必要がある。
知識があれば、ものがよく見えてくる。

それは、野草に限らず、どんな世界にも共通の方法。

「よく見れば薺(ナズナ)花咲く垣根かな」
松尾芭蕉

芭蕉は、「よく見ること」を句作の方法としていた。
「よく見る」とは、様々な視点からものを見るということ。
その結果、今まで見えていたものが、違ったものに見えてくる。
その発見が、新しい世界の創造につながることもあるかも知れない。

「よく見たら、この花盛りのナズナは、群がって垣根を形づくっている。
これは、垣根状に植えられたナズナなのだ。
いったいどんなお方が、こんな粋なことを思いついたのだろう。」
というような芭蕉の感嘆であったかもしれない。

アカソからナズナへ話が飛んでしまった。

アカソ
アカソの雄花。
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