雑談散歩

    山スキーやハイキング、読書や江戸俳諧、山野草や散歩、その他雑多なことなど。

平川市の猿賀神社の境内にあった不思議な木「孔雀柏」

孔雀柏。


平川市にある猿賀神社の境内で不思議な木を見かけた。
「孔雀柏(くじゃくかしわ)」という名の木である。
柵で囲まれたこの木のそばに、立派な立札が立っていた。
「奉納」という立札には、「天皇陛下御即位五十年奉祝記念植樹」とある。


この立札には、孔雀柏の発見者(昭和8年)は、小島繁寿先生、命名者は、牧野富太郎博士と記されている。
昭和49年に「尾上町天然記念物指定」とのこと。

そうか、「孔雀柏」の命名者は「日本植物学の父」といわれた牧野富太郎博士だったのか。

牧野富太郎博士は「雑草という名の植物はない」という名言をおっしゃったえらい先生である。

ある高名な作家が「名もなき雑草」てな文を小説に書いていたのを読んだ牧野博士は、「世の中に名前のない草はない。あるとすれば、それは植物学上の大発見だ」とおっしゃったとか。
自分の業績にたいする誇りが感じられて、いい話だと思ったものだった。

まさか猿賀神社で、その牧野博士の名を目にするとは思わなかった。
牧野博士は、どの地でこの孔雀柏を目撃されたのだろう。
孔雀柏とは、この木の葉を、孔雀の「飾り羽」にたとえたのだろうか。

しかし、発見者である「小島繁寿先生」という方が命名しなかったのはなぜだろう。

それはともかく。
この立札には、さらに以下の説明書きが添えられてあった。
此の孔雀柏はアラカシの変種にしてその生息地は気候温暖なる京都周辺に限り少数生育し東北地方に於いては当猿賀神社境内(東南猿賀石付近)にのみ自生しており植物学的に貴重とされ世に珍樹と言われるゆえんなり。
此のたび尾上町高木に居住する田辺市右衛門氏によって育成奉納されたその苗木をここに植樹するものなり。
   昭和五十年五月三日
      猿賀神社崇敬会敬白


とあったので、境内の「猿賀石付近」に行ってみたら「孔雀かしわ」の角柱が立っていた。
これには「この孔雀かしわは本州北部に自生するかしわの変種で現在日本では数本しかないと言われている。樹齢は百年で発見者は小島繁寿先生、命名者は牧野富太郎博士である。」と記されていた。

はたしてこの孔雀柏は、アラカシの変種であるのか、カシワの変種であるのか。
謎である。

ちなみに、アラカシはブナ科コナラ属の常緑広葉樹。
東北森林管理局のサイトによると、青森県には分布していない樹木であるとのこと。

カシワも、ブナ科コナラ属の落葉高木。
東北森林管理局のサイトには、「カシワとコナラの雑種をコナラモドキ(別名:コガシワ)。カシワとモンゴリナラの雑種をカシワモドキ。カシワとミズナラの雑種をホソバガシワという」とある。

カシワは、サクラみたいに雑種(自然交雑種)がいろいろある木のようである。

孔雀柏が、カシワとアラカシの雑種なら、アラカシの変種でもありカシワの変種でもあるということになるのだろう。
謎が少し解けた。

秋になったら、どんなドングリがなるやら。
また見に来よう。


葉のつき方は束生?

葉の縁は、鋸歯というより深裂。

幹。

枝。

根元から出ていた孔雀柏の幼木の葉。

葉の柄のほうの、小さい葉のようなグチャグチャは何?

茶色いグチャグチャは花の残骸?

葉の裏側。

Next Post Previous Post

広告