2021/07/24

根っこから良質のデンプンがとれるクズが、花を咲かせていた

クズの花。雄しべや雌しべは花弁の陰になって見えない。


「あんたなんか男のクズよ!」
と女性に罵られた経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれない。

「クズ」と呼ばれた男と「カス」と呼ばれた男が、居酒屋のカウンターでしんみりとビールを飲んでいる。
「クズ」と「カス」と、どちらの方が救いようがないかを論じあっている。
結局、「人間のクズ」よりはマシじゃない、というところに落ち着いた「男のクズ」と「カス男」。

山でクズの葉を見るたびに、「クズ!クズ!」と言われていた若い頃の記憶がよみがえる。
なんてことはない。

クズは屑と同音だが、屑じゃない。
根っこから良質のデンプン(葛粉・くずこ)がとれる。
「葛根(かっこん)」と呼ばれている生薬もとれる。
秋の七草のひとつとして、秋を代表する花のひとつにかぞえられている。

縄文時代の名称の由来にもなっている縄文土器の縄文紋様。
あの紋様は、クズとかの茎の繊維を編んで作った布片や縄の圧痕ではないかと言われている。
もちろん縄文人の衣類の材料としてもクズは使われたことだろう。

太古の昔から有用だった野草。
いつからグリーンモンスターと呼ばれ、害草扱いされるようになったのだろう。
クズをグリーンモンスターとして恐れているのはアメリカ。

「読売オンライン」の五箇公一(ごか・こういち)氏の記事には、クズは1800年代後半に、日本から緑化目的でアメリカに持ち込まれたとある。
1930年代には河川の土壌をせき止めるためや、土砂流出を防ぐ目的で、またたく間に普及したという。

それが現在では、アメリカにおいてクズの繁殖に歯止めが利かず、クズが草原や森林の植生を塗り替えてしまっているらしい。
クズは、自動車や建物、電柱や電線までも、あっという間に覆い尽くしてしまうグリーンモンスターとなって大暴れしているという。

ここ滝沢のクズは、ヤブ漕ぎ散歩者の行く手を阻んでいるが、いたって平穏に見える。
風でひるがえった大きな葉の陰から、濃い紫色の総状花序をのぞかせている。

クズはマメ科クズ属。
つる性の多年草に分類されているが、茎の基部は木質化する性質を備えている。
草本と木本の中間的な存在との見方もあるようだ。
真夏には一日で1mぐらい伸びると言われているから動物のようでもある。
アメリカ人がモンスターと呼ぶ所以である。


深い紫色が美しい。

特徴的な黄色の斑紋。

クズの葉。三出複葉。

葉の裏。よく見ると白い毛が密生している。

クズの蔓状の茎。黄褐色の粗毛が生えている。

総状花序。上の房は蕾。花は下から咲きあがっていく。