雑談散歩

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海原の道遠みかも月読の明すくなき夜はふけにつつ

月明りもなく暗い海の写真。
暗い海。

夜の神に見放されてしまったのか、月の明かりが暗い。
これでは、岩礁の在処を知ることもできず、潮の流れを見ることもできない。

海賊の襲撃をおそれて、日暮れてからの船出にしたのだが、当てにしていた月明りがわずかしかない。
岸に沿って航路が示されている次の泊地までは、危険な岩礁が多く潜んでいて難所続きだ。
頼りない月明りでは、とうてい乗り切れるものではない。

きっと月読命への祈りが足りなかったのだろう。
昼の出航を選ばなかったことで、天照大神からも見放されてしまったのかもしれない。

神々を頼りにできなくなった今は、岩礁を避けて遠回りするしかないのだが。
少しでも沖に出ると、潮の流れが大蛇の様に絡んでくる。
こんな小さな船では、海底深く吞み込まれてしまうだろう。

夜が更けるとともに、海上の闇が濃くなってきた。
風も出てきて、船べりを叩く波の音が身に響く。

なんとも心もとない。
この先どうなることやら。

都では妻が吾の帰りを待ち侘びていることであろう。
この度の出張については、良からぬ兆しがあると妻は案じていた。
作病してひきこみ、お仕事を断りなさいと助言してくれたのだが。
まさしく、そうすべきだった。

海原の道遠みかも月読の明すくなき夜はふけにつつ

うなばらの みちとほみかも つくよみの あかりすくなき よはふけにつつ


作者不詳(万葉集・巻七・千七十五)

■参考文献
斎藤茂吉著「万葉秀歌(上)」 岩波新書

この文章は歌の意味や解釈を記したものではありません。ブログ管理人が、この歌から感じた、極めて個人的なイメージを書いただけのものです。

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