雑談散歩

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山岳スキー愛好者やハイキング愛好者は要注意「火山性ガスは窪地にたまりやすい」

昨日(18日)夕方、秋田県の乳頭温泉郷で火山ガスによる死亡事故が起きた。
温泉の源泉に含まれる硫化水素による中毒の可能性が高いと、報道されている。

亡くなった作業員の方は、源泉から約200メートル離れた雪の窪地で急に倒れたという。

このニュースを山岳愛好者が耳にすれば、ちょっとしたミスが不幸な結果を生じさせたのだな、と思うことだろう。
亡くなられた方々を哀悼すると同時に、硫化水素の匂いのするところでは、やはり窪地が危険なのだと痛感するに違いない。

山歩きを趣味に持つ者として、どういう場所が危険なのか、心に留めておかなければならないところだ。

火山性ガスは、火山活動によって発生する二酸化炭素や亜硫酸ガス、硫化水素などのこと。
これらは、空気よりも重いため、温泉の噴き出し口やガスの噴出孔などの近くの窪地にたまりやすい。

火山性ガスは、毒性をもつ成分や酸欠により、動植物の生命に大きな危害を及ぼす。

火山活動が盛んな地域をハイキングする場合、裸地状態になっている窪地周辺や動物の死骸がある低地周辺などには近づいてはいけない。
火山性ガスによる中毒死は、なんの前触れもなく一瞬にして起こるらしいので、危険な場所に足を踏み入れただけで手遅れ状態になることが多いという。

特に硫黄泉の温泉がある地域では、注意が必要だと私は思っている。

北八甲田大岳の麓にある酸ヶ湯温泉は酸性硫黄泉で、周辺には硫化水素の匂いが漂っている。
周辺の窪地や谷地形などの低い場所では、特に無風状態のとき、硫化水素が滞留する可能性が高い。

2010年6月に、酸ヶ湯温泉近くで、タケノコ採りに来ていた女子中学生が有毒ガスによって亡くなられた事故は、まだ記憶に新しい。
タケノコ採りは、背をかがめて、頭の位置を低くして行うので、硫化水素の匂いが立ち込めている低地では、有毒ガスにまかれる可能性が非常に高い。

立って移動しているか、地を這うように屈んでいるかで生死が別れる。
風が吹いていれば、有毒な火山ガスも拡散してしまうのだろうが、無風状態では滞留しがち。
当日の気象条件も生死の分かれ目となったことだろう。

誤解の無いように付け加えれば、酸ヶ湯温泉が危険なわけではない。
酸ヶ湯温泉は300年の歴史を持つ青森県を代表する温泉。

酸ヶ湯温泉周辺は国立公園に指定されていて、無雪期は、公式の登山道以外立入禁止になっている。
これは、安全を確認された場所以外は入山が規制されているとも言える。
有雪期の山岳スキーコースも、比較的に安全な場所に設定されているようであるが。
自然の山岳地帯のこと、あらゆる面で安全が保障されているわけでは無い。

また、1997年7月、北八甲田北東山麓の田代平で、窪地内に溜まっていた炭酸ガスにより、レンジャー訓練中の陸上自衛隊員3名が死亡するという事故もあった。

上記のような事故例を記憶に留めて置くこと。
それが、山岳スキー愛好者やハイキング愛好者が、火山性ガスによる事故を回避することにつながると思う。

尚、最近の八甲田山の火山活動について、仙台管区気象台火山監視・情報センターでは以下のように解説している。

「火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動も観測されませんでした。 2013年4月から7月にかけて増加した、大岳山頂直下の地震活動は低調ながら継続していることか ら、今後の火山活動の推移に注意してください。」
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