2016/06/25

青森市港町の名前の無い海辺の公園は、実は「緩傾斜護岸」だった

青森市港町3丁目に陸奥湾に面した、東西方向に細長い公園がある。
公園の周辺を見渡しても、この公園の名前を記した標示板は見当たらない。
この公園の東端の向こうは合浦2丁目。

この公園から東方向に道路を600メートルほど歩いたところに、「日本の都市公園100選」に選出されている合浦公園がある。
合浦公園は、青森市立の総合公園で、緑地にはソメイヨシノやクロマツが林立し、砂浜は夏場に海水浴場として開放されている。

近所に立派な合浦公園があるせいか、この「無名公園」は影がうすい。
存在感が希薄で、あまり人には知られていない。
公園の周辺は、水産物の加工工場が多く、住宅は少ない。
そのせいか、公園全体に寂しい空気が漂っているようである。

そういえば、港町は1丁目から3丁目まであるが、緑地公園が少ない。
港町1丁目の堤川の東側に、川に沿って青森市の都市公園である「堤公園」と、町の北側の端に、岸壁に沿った緑地遊歩道があるくらいである。

港町の西を流れる堤川の河口の西側には「堤川緑地公園」がある。
所在地は青柳1丁目。
この緑地公園には、駐車場あり、クロマツの並木あり、小高い丘に東屋あり、アスレチック遊具あり、すわって海を見渡せるベンチあり、もちろんトイレありで公園として一通りの設備が整っている。
海辺で釣りを楽しんでいる人もいる。

埠頭の先端にある「堤川緑地公園」の周辺は、冷蔵庫会社だったり生コン工場だったりで、住宅はほとんどない。
くらべてみたら、むしろ「無名公園」の方が、近くに住宅が多い。

スロープ入口のゲート。錆びていて動かない。
この「無名公園」には、「堤川緑地公園」のような、夏の陽射しを遮ってくれる木陰も無ければ、目に優しい緑地も無い。
あるのは金属とタイルとコンクリートで構成された殺風景な空間だけ。
上の写真のように、スロープの入り口にあるシャレたゲートは、錆びついていて回転しない。
まるで何年も人が訪れたことの無い公園のようだ。
海釣り公園でもなさそうだし、いったい、この広場の用途は何なのだろう。
公園の散歩人の私としては、実に不思議な感じの公園なのだった。
謎と言ってもいいくらいだ。

ところで、この公園の東端の階段の下に、下の写真のような看板がある。
単なる注意書だろうと気にかけなかったが、よく見ると気になる文字が書かれてある。
看板上部の赤帯びには「緩傾斜護岸(かんけいしゃごがん)利用についての注意」と黒文字で記されてあった。
赤ベタに黒文字じゃ、スッゲー目立たないじゃないか。
と思いながら、注意深く看板を見ると、看板の左下には、「施設管理者:東青地方漁港事務所」と記されてある。

注意書きの看板。
これで納得。
ここは、青森市が管理する都市公園では無くて、青森県の「東青地方漁港漁場整備事務所」が管理する「緩傾斜護岸」であるらしい。
この看板を見て、そう納得したのだったが、「緩傾斜護岸」とは何なのか?
「緩傾斜護岸」という謎のような名称が、一層の混迷を誘っている。
そして、生活に馴染みの無い「緩傾斜護岸」という漢字だらけの堅苦しい専門用語が、一層人を近寄りがたくしているのではないかと思えてくる。

そこで「ネット検索」で検出されたサイトを右往左往。
「一般社団法人 日本埋立浚渫協会(にほんうめたてしゅんせつきょうかい)」のウェブサイトに「緩傾斜護岸」についての説明書きを見つけた。
それを私なりにまとめたのが、以下のもの。
  1. 緩やかに傾斜する水際線を造って、海と陸とのなだらかな連続性を意識した護岸。
  2. 広いスペースをとることができるため、開放的な空間にすることが可能である。
  3. 親水性や景観を意識して造られた護岸である。
  4. 親水護岸は、水辺の復権へ向けた港湾構造物を象徴する施設。
  5. 座って海を眺めたり、散歩や子どもの遊び場になる。
  6. 建設するのに適した地形は、長い水平距離をとることができる静穏な水域。
タイル敷きの広場。
なるほど、ここを公園として見ると、なにか変な公園だなと感じる。
「堤川緑地公園」に備わっているようなものは、ほとんど無いと言っていい。
わずかに、東屋とベンチがあるだけである。
ところが、「緩傾斜護岸」という港湾施設だと知ると、なるほどそういうものだったのかと納得する。
でも、「緩傾斜護岸」の内容を知らなければ、「緩傾斜護岸」って何だという人が多いのではあるまいか。

尚、「緩傾斜護岸」はこの施設の東側だけで、東屋やベンチのある西側のタイル敷き広場は、直立式護岸とテトラポットの組み合わせである。
一見公園のように見える西側の広場は、実は「緩傾斜護岸」付属の施設で、しかも直立式護岸なのだ。
ここが、この施設の紛らわしいところ。
「緩傾斜護岸」についての「説明書き」が、この施設のどこかになければ、この空間は理解できないのではないだろうか。

公園の散歩人は、家でブログを書きながらそう思った次第である。

広場からは東岳が見えた。

広場にはベンチ、ベンチつきテーブル、東屋といった設備がある。

広場の東側に、海辺に下りるブロック階段がある。これが「緩傾斜護岸」。

「緩傾斜護岸」の緩い傾斜で水際へ近づく階段。これが「親水護岸」と呼ばれる所以。

自動車道路からタイル敷き広場へ至る階段。

階段を登ってタイル敷き広場へ。

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