雑談散歩

    山スキーやハイキング、読書や江戸俳諧、山野草や散歩、その他雑多なことなど。

悪環境でもしぶとく生きている鬼、アメリカオニアザミ

アメリカオニアザミ
愛犬の散歩の途中、路上でアメリカオニアザミが咲いているのを見かけた。
コンクリートの電柱と、コンクリートの側溝枠のわずかな隙間から茎を伸ばしている。
こんな悪環境でもこうして生きている姿を、健気だと感じる人は少ないだろう。

棘だらけの、この凶悪そうな野草は、「外来生物法」で「要注意外来生物」に指定されているとのこと。
花以外、全身棘だらけの理由は、人間や動物から身を守るためだと言われているが、はたしてどうなのか。
アメリカオニアザミは人間に敵対しようと思って全身に棘をまとっているわけではないだろう。
とはいえ、野草のなかでは憎まれ役であることに変わりはない。
人間や犬猫がアメリカオニアザミと接触すれば、傷つく可能性は大きい。

紅紫色の頭状花序。細長い管状花の集合体である。
棘のある草花がすべて嫌われている訳では無い。
バラやサボテンは、観賞用として人気が高い。
アメリカオニアザミは、全体の姿が観賞に堪えるようなものではないので、好かれていないのだろう。
特に、総苞片が花よりも大きいのは、ちょっと不恰好である。
貪欲な繁殖力も、嫌悪の原因になっていると思う。
まだノアザミなら、切り花として利用されたりしているらしいが、アメリカオニアザミを生け花にしたり花壇に植えたりしている人は、きっといないに違いない。

「あなたって、どうして棘のある言い方ばっかりなさるの?」
「棘は、俺の身を守る武器だからさ。」
「まあ、あなたってアメリカオニアザミみたいな人ね!」
なんて、芝居の台詞にも使えない。

羽状に深裂した葉の先に鋭い棘。
アザミ類は全般に棘のある植物。
世の中には棘のある植物が多いので、アザミに棘が生えていても不思議ではない。
アメリカオニアザミの棘は、結果的に、人間や動物から自身を守っている。

アメリカオニアザミの駆除は大変な作業。
草本体を引き抜くにしても、軍手では通用しない。
溶接工が使うような分厚い革の手袋でなければ、鋭い棘には太刀打ちできないだろう。
やはり、アメリカオニアザミは、悪環境でもしぶとく生きる鬼である。

植物にとっては、棘は身を守る武器になるが。
棘のある言い方ばっかりしている彼は、どうなるのだろう。

『あなたの棘って、身を守るどころか、そのうち自分に刺さるかもね。アザミの花言葉は「復讐」なのよ。うふふふふ。』

花の下の、鋭い棘のある総苞片。その下の茎も棘だらけ。

電柱と側溝枠の隙間から出ている。
Next Post Previous Post

広告