標語看板に書かれた「罪」に泣く人々

よくある標語
「君の罪 父泣く母泣く 友も泣く」
という俳句調の標語を路上で見つけました。
電柱に縛り付けてある看板に書かれていた標語です。
よく見かける表現のように思います。

 少年犯罪予防
おそらく、少年犯罪の予防のための看板なのでしょう。
万引きや盗み、恐喝や窃盗、強盗殺人、婦女暴行など少年犯罪は年々凶暴化・悪質化していると言われています。
上の標語は、そういう凶暴化・悪質化している年齢層の少年犯罪よりは、もっと若年の少年を対象にしたものだと思います。
標語で訴えている内容が若年者向きな感じがあるからです。

罪を直視していない標語
少年の犯罪に対して「君の罪 父泣く母泣く 友も泣く」と呼びかけているタイプ。
この標語の「罪」とは、窃盗や万引きで第三者に被害や迷惑を与える行為を指しているのでしょう。
そのわりには、「犯罪行為」の被害者に対する記述に欠けています。
犯罪行為は、両親や友人に辛い思いをさせるからいけないよ、と戒めている内容だけです。
バスのなかで騒ぐ子どもに対して、その子の親が「そんなに騒ぐと運転手さんに叱られるよ」と戒めているのと似ています。
他の人に迷惑をかけるから止めなさい、とは言わないのです。
その行為が及ぼす現実を、直視していない内容の標語になっています。

被害者の立場
この標語は、少年の周囲の人々の嘆きを全面に出したものですが、被害者の嘆きには全く触れていないところにちょっと興味を覚えました。
犯罪に巻き込まれて、まっさきに辛くて悲しくて苦しい思いをするのは被害者なのです。
この標語の対象が年少者で、年少者の犯罪は微小なものなので、被害者の苦渋を訴えて年少者の壊れやすい心を傷つけるよりも、「泣く」という年少者に解りやすい感情で戒めの文言を表現した方が良いと言う大人の配慮かもしれません。
近親者の「泣く」という優しい感情に、少年犯罪者を同調させようという試みなのでしょう。
少年を対象にした防犯の標語は、保護的で解りやすく優しい感触のものでなければならないという配慮が感じられます。
被害者の立場は二の次。
被害者も含めて、少年を保護しなければいけないよ、という雰囲気が感じられます。

温和な表現を採用
「君の罪に被害者は泣き、君の罪を被害者は憎み、君自身をも怨むかもしれない」
という恐い標語は不採用でしょうね、たぶん。
憎んだり怨んだりする攻撃的で激しい感情よりも、「泣く」という受身的で温和な感情の方が、年少者にとっては教育的だからという視点があるのでしょう。
親子や友達間で悲しみを共有できる環境を作り上げれば。犯罪は防止できるという考えなのかもしれません。

だから、「盗みをしたら手が腐る」なんていう厳しい標語は、間違っても作ってはなりません。

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