夜の鴨と雪かきと温泉銭湯の思い出
私が以前住んでいたアパートの近くに温泉銭湯があった。
風呂からあがっても長い間体がポカポカ温まっていて、いい湯だった。
ほとんど毎日通うほど、この温泉銭湯が気に入っていたのだった。
特に、寒い冬場は、体が温まるので重宝な温泉だった。
日中、雪が降って積もると、風呂へ行く前に雪かきをした。
少しでも楽に、雪かきを行う方法を探すことが、雪国の生活の方法である。
また捨てる。
それで、雪かきの汗が退いたら、着替えをして、温泉銭湯へ歩いて行く。
吹雪の冬の夜でも、この温泉銭湯からの帰りの歩きは、寒さを感じなかった。
体がポカポカ温かかった。
風呂からあがっても長い間体がポカポカ温まっていて、いい湯だった。
ほとんど毎日通うほど、この温泉銭湯が気に入っていたのだった。
特に、寒い冬場は、体が温まるので重宝な温泉だった。
日中、雪が降って積もると、風呂へ行く前に雪かきをした。
夕陽が落ちて暗くなると、雪明かりに人の影がちらほら。
雪国で暮らす庶民には、雪かきから逃れる方法は無い。
少しでも楽に、雪かきを行う方法を探すことが、雪国の生活の方法である。
アパートのすぐそばに、小さな河をコンクリート護岸した水路があって、そこへ雪を運び落としていた。
夜はその水路で、鴨達が眠っている。
夜の河へ雪を捨てると、驚いた鴨達がガーガー鳴く。
パシャパシャと、暗い水面で鴨達があわてて動き回る音。
また捨てる。
またガーガー、パシャパシャ。
果てしない繰り返し。
「鴨は私の雪かきの友」ってのは、私の勝手な思いこみ。
鴨にとっては、いい迷惑。
鴨にとっては、いい迷惑。
ともあれ、雪かきの後は、乾いた喉にビールが美味しかった。
500mlの缶ビールを飲み干していた。
それで、雪かきの汗が退いたら、着替えをして、温泉銭湯へ歩いて行く。
吹雪の冬の夜でも、この温泉銭湯からの帰りの歩きは、寒さを感じなかった。
体がポカポカ温かかった。
銭湯からもどって、アパートの裏の暗い水路をのぞくと、鴨達が静かに眠っている。
ようやく訪れた平穏な夜に、安堵しているようだった。