思い込みのエネルギー

海鳥の海猫。
「海猫」とはカモメの仲間で、黄色いくちばしの先端が赤いのが特徴だ。
なによりも、鳴き声が猫に似ているのが最大の特徴。

「海猫」という名前の由来も、ここからきていると思われる。
一般にはウミネコとカタカナ表記される。
だから、ウミネコと聞くと、皆、海鳥のウミネコを思い浮かべる。

仮の話だが、ある日、ひとりの老人の記憶から海鳥のウミネコが消えてしまったらどうだろう。
その老人が「ウミネコ」という言葉を聞いた時、老人の脳裏には「海猫」という像が描き出される。

その像が、海に生息する猫の様子を創造させるのだ。
老人の思い込みは、自身の体験や記憶が基となっている。
海プラス猫が「海猫」なのだ。

子どもの頃、「キクラゲ」という食べ物は、海にあるものだと思っていた事がある。
無知故の、子どもの思い込みである。

知識が充分ではない子どもの思い込みは、「キクラゲは海の食べ物」という一点に止まる。
おそらく、子どもの思い込みはそれ以上発展しない。
発展して、架空の存在物を創り上げ、それが「文化」となるようなことはない。

だが、知識豊富な老人の思い込みは、無いものを有るもののように創造してしまう。
高齢者の頭の回転は遅いと、よく言われているが、はたしてそうだろうか。

老人の旺盛なイメージ力が、瞬く間に、海原に群がる「海猫」のアイデアを念出してしまう。
海と陸を往復し、魚が好物である「海猫」の存在。

河童という存在には、エネルギーが感じられる。
河童という存在が、多くの人々のイメージに入り込む力を持っているからだ。
おそらく、多くの日本人の脳裏には河童というキャラクターが棲みついている。

民話という文化が、そのエネルギーを、さらに大きくしている。
その民話がもとになり、様々な河童のキャラクターが生まれ、ついには、その存在が取り沙汰されるまでになる。

河童の創造も、「海猫」を創造したような一老人の仕業であるかもしれない。
老人の頑固な思い込みのエネルギーが、新しいアイデアを創造することもある。
まあ、仮の話だが・・・。

海で暮らしているかも知れない猫。

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