「冬じまい」の意味
【晩秋の落ち葉。】 |
一段と寒さが増して、冬が間近になると、冬支度のあれこれが忙しい。
雪囲いをしたり、自動車のタイヤをスタッドレスタイヤに交換したり、雪かきの道具を点検したり、防寒具を引っ張りだしたり。
青森での冬支度のほとんどは、雪(積雪)のための準備(雪除けの方法)である。
だから、北国のこの地方では、冬支度は雪支度。
この時期「冬支度」とともによく耳にする言葉に「冬じまい」というのがある。
「冬じまい」は、冬がそこまで迫っている晩秋の頃にも使われている。
もちろん初春の時期に使われている言葉なのだが。
春になって雪がとけて、使わなくなった冬のものを仕舞うという意味合いで「冬じまい」という言葉を使っている。
たとえば、雪かきの道具を片付けたり、スタッドレスタイヤを片付けたり、庭木の雪囲いを取り払ったりするのが、「冬じまい」という行為らしい。
私は、「冬じまい」とは、雪の季節をむかえるにあたって不要なものや使えないものを仕舞うのが「冬じまい」という言葉の意味だと思っていた。
自転車を物置にしまったり、庭いじりや家庭菜園の道具を片付けたり、北国のサーファーならサーフ道具を納戸にしまったりとか。
山岳地帯に雪が降る頃、山小屋を閉めるのも「冬じまい」と言っているような気がする。
「冬じまい」という言葉を、秋に使うのと春に使うのと、どっちが本来の使い方なのだろう。
俳句の冬の季語になっている言葉に「斧仕舞」というのがある。
「斧仕舞」とは、斧を使う人が、その年最後の仕事をすることである。
また、「秋じまい(秋収め)」という言葉もある。
これは、その秋の収穫がすべて終了したということの意味らしい。
「斧仕舞」にも「秋じまい」にも、「終了」という意味合いが濃いので、季節の終わりに使う言葉なのだろう。
となれば、「冬じまい」は冬の季節の終わりに使うのが本来の使い方なのではとも考えられる。
「冬じまい」とは「冬が来るから仕舞う」のか「冬が終わるから仕舞う」のか。
「夏じまい秋支度」と続けると、その意味は明瞭なのだが、「冬じまい春支度」というのも、聞いた事があるような無いような。
大学の水泳部が、寒くなって屋外プールでの練習を終えるためにプールを閉めることを「冬じまい」と言っていたような・・・・。
「冬じまい」には、その状況に応じて二通りの意味があるのかも知れない。
日本語の方法は、とても難しい。