ある胃ガン患者の死

昨日の夕方、仕事関係の知人の通夜に参列した。

彼は去年の2月の終わり頃、胃がんと診断されて公立病院で手術を受けるために入院。

胃を三分の二摘出して3月の終わり頃に退院。

その後、鉄工所を経営しながら、抗がん剤治療と検査を繰り返していた。

現場仕事にも出ていたので、つい最近まで、建築現場の足場に上がっての作業も元気にこなしていたという。

去年の暮れのCT検査では、異常が見つからず、本人も安堵していたという奥様の話だった。

それが、今年の2月のはじめに、激しい腹痛のため、かかりつけの病院で診察を受けたら、胃の周囲の内蔵にたくさんのガンの転移が認められたという。

彼は3月28日に亡くなった。

私より若く、満58歳の生涯だった。


通夜の喪主挨拶の場で、奥様は、去年の暮れのCT検査で異常が見つからなかったことを悔しそうな口調で参列者に告げた。

その口調から、CT検査に疑念を持っているように私には感じられた。

個人的に詳しい話は伺っていないので、真意は不明である。

そう感じたのは、あくまでも私自身の受けた印象に過ぎない。


CT検査での医師による見逃しがあったとすれば、酷いことだと思った。

病院におけるいろんなミスがニュースの話題によく上がるので、そういうこともあるのかも知れない。

病院選択、医師選択も、命運を分ける重要な要素であるだろう。

そう思いながらも、もうひとつ頭に浮かんだのは、彼は「スキルス性胃がん」と呼ばれる病気ではなかったかということだ。

「スキルス性胃がん」とは20年ぐらい前に、フリーアナウンサーの逸見政孝さんが亡くなったことで話題になった病気だ。


「スキルス性胃がん」は胃粘膜表面の変化を起こさずに胃壁の中に広く浸潤するために内視鏡検査での発見は難しいらしい。

ガンの進行が早く、転移もしやすい。

手術しても再発度が高いというのが「スキルス性胃がん」の特徴であるという。

去年の12月のCT検査に何も出なかったということは、それ以後、急速にガンの再発・転移が進行し、2ヶ月後の腹痛でそれが発覚したということになる。


いずれにしても確かな情報が無いので、私の推測の域を出ない。

「推測や憶測でものを言ってはいけない」とおっしゃる方もいるが、それは間違いである。

「推測や憶測で断言してはいけない」が正解。

推測や憶測も、ひとつの考える方法。

それさえ封じ込められたら、素人は、自身の病変に対して何も言えないことになる。

患者や患者家族の疑念を、「知識の無い素人の戯言」として高い位置から見下す医師は存在する。

「医師の見逃し」か治療困難な「スキルス性胃がん」だったのか、不明だが、彼が亡くなったのは厳然とした事実。

かつて一緒に仕事をした思い出を大事にすることが私の精一杯の弔いである。

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