高山稲荷神社の裏の海(屏風山砂丘)
高山稲荷神社の大鳥居。 |
青森県に日本一の砂丘
青森県に砂丘があることをご存知だろうか?
と言うか、青森県に日本最大規模の砂丘があることを知っていますか?
青森県下北半島の太平洋側に広がる猿ヶ森砂丘(さるがもりさきゅう)。
これが、内陸の砂丘を含めると、あの有名な鳥取砂丘を抜いて日本一の大きさになる。
幅1〜2キロメートル、総延長は約17キロメートル。
別名、下北砂丘。
ただ残念なことに、この砂丘のほとんどが防衛省の下北試験場(弾道試験場)の敷地になっており、一般の観光客は立入り禁止になっている。
これが日本最大規模の砂丘であるにも関わらず、あまり知られていない理由。
砂丘の近辺には、大小さまざまな沼と湿原が散在している。
屏風山砂丘
前置きで猿ヶ森砂丘について書いたのは、津軽半島の西海岸に広がる屏風山砂丘へ行ってきたから。
西の屏風山砂丘は東の猿ヶ森砂丘よりも、さらに知られていない。
盆の墓参りのついでに、つがる市牛潟町にある高山稲荷神社まで行ってきた。
神社の裏手にある海岸は、子どもの頃よく訪れた場所なので、その海を見物するために行ったのだ。
付近一帯に広がる砂地は屏風山砂丘と呼ばれている。
屏風山砂丘は海岸砂丘で、西からの強風で海岸から吹き上げられた砂が、東西に延びる谷に沿って丘陵地に舞い上がってできたもの。
砂丘では、弘前藩(津軽藩)時代から防風林の植林事業に着手され、砂丘東側の新田開発が実現されてきた。
現在では、メロンやスイカの産地となっている。
そして、猿ヶ森砂丘同様、このエリアにも多くの沼や湿原が存在する。
ベンセ湿原や平滝沼などが割と知られている。
高山稲荷神社
さて、久しぶりに訪れた高山稲荷神社裏の海岸は、独特の地形が懐かしかった。
七里長浜と呼ばれる緩やかな海岸線とそれに沿った屏風山砂丘の海岸段丘が、特異な景観を形作っている。
その海岸段丘も年々浸食され続け、崖肌には進行している浸食の跡が生々しい。
かつてこの海岸段丘から砂浜に下りた道も、今は削られて消失している。
砂の斜面をズリ下りて海岸に出るしか方法は無い。
海岸の砂浜の奥行きは昔と変わらないように見えるので、海岸線の後退に伴う海岸段丘の浸食なのかも知れない。
と、素人観察している。
海岸浸食
海岸線自体が海面上昇で後退し、高波や強風の影響で海岸段丘が崩れて内陸部に後退しているという素人観察だ。
遠い昔、遊んだ砂浜はもう海の底か?などという空想におそわれ。
弘前藩4代目藩主津軽信政によって始められたという新田開発を契機に、延々と現在まで耕され築き上げられてきた津軽半島西部農地が、このままでは危機に陥りはしないだろうか。
そんな危惧をよそに、風景はいたって穏やかに見える。
平穏に見える日常の中から、言葉で探り出し切り取ったものが、現在を考える際の重要なコンテンツである、と言ったのは、どなただったか・・・。