窓の外の歌井上陽水「氷の世界」
ここ2~3日の春の雪が、また、窓の外を冬のように白くした。
割と気温が高めなので、積もった雪が日中は融け出す。
それが、気温の下がった夜には凍って、暗闇の下は、一面氷の世界。
厳冬期ほどの冷え込みは無いが、ぼんやり白く浮かんだ雪景色は寒々としている。
井上陽水の「氷の世界」は、「ぴーひゃららぴーひゃらら」という、まるで祭囃子のようなハーモニカの音で始まる。
そして、劇的に「窓の外ではリンゴ売り 声を枯らしてリンゴ売り・・・・」と歌が続く。
私たちは、芝居でも見ているように、窓の外のりんご売りの姿を見ている。
窓の外を、リンゴ売りの商人が「リンゴ、リンゴー」と叫びながら通り過ぎる。
だが、井上陽水は、そんな予定調和を崩してしまう。
「きっと誰かがふざけて リンゴ売りのまねをしているだけなんだろう」
割と気温が高めなので、積もった雪が日中は融け出す。
それが、気温の下がった夜には凍って、暗闇の下は、一面氷の世界。
厳冬期ほどの冷え込みは無いが、ぼんやり白く浮かんだ雪景色は寒々としている。
井上陽水の「氷の世界」は、「ぴーひゃららぴーひゃらら」という、まるで祭囃子のようなハーモニカの音で始まる。
そして、劇的に「窓の外ではリンゴ売り 声を枯らしてリンゴ売り・・・・」と歌が続く。
私たちは、芝居でも見ているように、窓の外のりんご売りの姿を見ている。
窓の外を、リンゴ売りの商人が「リンゴ、リンゴー」と叫びながら通り過ぎる。
だが、井上陽水は、そんな予定調和を崩してしまう。
「きっと誰かがふざけて リンゴ売りのまねをしているだけなんだろう」
この歌の文句とともに、リンゴ売りの商人の姿は消える。
吹雪のなかでリンゴ売りのまねをしているのは、井上陽水自身ではないのか、と思えてくる。
私たちは部屋の中にいて、窓の外の、ギターを抱えた井上陽水を見ている。
「人を傷つけたいな 誰か傷つけたいな」
井上陽水のナイフのような声が、ガラス窓を震わせる。
1970年代の井上陽水は、そんな歌いっぷりだった。
「窓の外の女」とか「窓の外の雪」とか、世間には窓の外の歌がいくつかある。
イルカは、「窓の外は雨・・・・」と歌った。
吉田拓郎は「外は白い雪・・・・」と歌った。
窓の外に目を向けさせることで、観客のイメージを広げようとしたのだろう。
だが、井上陽水は、窓の外に身を置くことで、自身のイメージを広げようとしているようだ。
吹雪の夜のリンゴ売りなど、どこにも存在しない。
存在しないから、彼は存在しないものを歌う。
「窓の外ではリンゴ売り 声を枯らしてリンゴ売り きっとだれかがふざけて リンゴ売りのまねをしているだけなんだろう」
と歌いながら、存在しないものを現出させようとしているような。