ミニコミとインターネットの魅力

私が学生の頃、ミニコミ雑誌がずいぶん流行った。

まだインターネットはおろか、パソコンも普及していない時代。

ミニコミ誌運営者の情報収集方法は、「口コミ」をたよりに、地域の現場に足を運び、自身の五感で情報を感じ取るといったもの。


現場で情報収集という活動は、マスコミの一端を担っている新聞と変わりない。

どこが違うかと言えば、五感を働かせた日常に対する視点だろう。

日々の暮らしの中での楽しい事、有益な事、知るべき事に対するいろんな角度からの接近がミニコミ誌の方法。

マスコミの情報収集活動は、公認された知識(常識)に拠るところが多い。

新聞記事という表舞台には登場できない、些細でつまらない出来事を、拾って記事情報にするのがミニコミ誌の特徴的な手腕だったような気がする。

方や(マスコミ)全国規模、方や(ミニコミ)地域規模。

方や(マスコミ)有識者に受けが良い、方や(ミニコミ)遊び人に受けが良い。

方や(マスコミ)建前は安全確実 、方や(ミニコミ)冒険とシャレと粋。

おおざっぱに言えば、こんな比較が成り立つ。




現代の情報取得はインターネット検索の時代。

ミニコミ情報もマスコミ情報も総まとめで検索できる。

だが、検索から漏れている情報は存在しないのか。

そう訊かれれば、多くの人々は、「そんな情報はきっとあるはず!」と答えるに違いない。

いくらインターネットだって、現時点で価値のない役に立たない情報には注目しない。

検索エンジンのサーバーの容量にだって限界がある。

だが、昔のミニコミ誌は、マスコミが相手にしない「価値のない役に立たない情報」を取り上げて発展した。

人々の嗜好が、だんだんと多彩な傾向を持つようになって、多くの「価値のない役に立たない情報」の有益性が表社会に進出し始めたのだ。

無用の用とかね。

だから人々は幻の情報を夢に描いて、「そんな情報はきっとあるはず!」と答える。

人々は、既存の情報に物足りない思いを抱いて、新鮮な情報を追い求めているに違いない。

停滞しない好奇心が新しいコンテンツをつくる。

今はまだ「価値のない役に立たない情報」かもしれないが、いつか有益性を帯びてくる。

そんな可能性があるとすれば、検索から漏れている情報が、やがて有益なものとしてネットで閲覧できるようになるだろう。

日常の隅っこに転がっているゴミクズのような情報も、どこかで誰かの役に立つ。

理屈では無く、五感が働いて。

五感に支えられた視点から、あらためて「日常の様々」を見つめなおす。

ブログに書かれた取り留めの無い意見や感想や疑問が、少なく無い人々の共感を得るかも知れない。

広くて大きなインターネットの世界で、ミニコミ的な試行錯誤が行われている事自体がインターネットの魅力なのでは。


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