北八甲田黒森の山麓でのキノコ採りを断念して藪漕ぎ黒森登山
本日の行程図(赤色点線:登り、青色点線:下り。行程線はブログ管理人の書き込み)。出典:国土地理院ホームページ。 |
北八甲田・黒森山麓
北八甲田黒森の山麓は、自動車道路から眺めると、歩くのに快適そうなブナの森が広がっている。地形図を見ると、小さな沢が集結している北東向きの谷もある。
これはキノコが大量にあるのではと期待して、コンパスを合わせて山に入ったが、キノコは見当たらない。
谷をふたつばかり越えても、キノコのニオイもカケラも無い。
天気は良いし、時刻はまだ早い。
そこでキノコ採りを断念して、黒森登頂をめざすことにした。
黒森は、去年の春の残雪期にツボ足で登っている。
そのとき、無雪期でもいけるのではと思ったのだが、それを実行することにした。
北八甲田黒森は国立公園の「普通地域」
黒森(標高1022.7m)の東西に張り出した稜線の北西側(市町村境界の青森市側)は、「十和田八幡平国立公園」の「普通地域」に指定されている。国立公園の「特別地域」や「特別保護地区」では、原則として指定遊歩道以外に立入る場合は、環境省(環境大臣)などへの許可申請が必要だが、「普通地域」への立入りはその限りでは無いという。
黒森には登山道や遊歩道は無いが、自然散策目的での入山に規制はない。
またキノコ採りも、その行為自体に規制はない。
そういう「自然公園法」の「解釈」のもと、黒森藪漕ぎ登山を楽しむことにした。
尾根直下はネマガリタケの猛烈な藪
標高750mから850mぐらいまでの傾斜の緩い部分は、ネマガリタケの藪が少なく快適に登ることが出来た。標高850mあたりから急登を強いられる。
それまで膝ぐらいの高さだったネマガリタケが、2mぐらいの丈に変わる。
足を滑らせると転落の危険があるような急斜面登高。
むしろ、丈2mの太いネマガリタケが幸いした。
両手それぞれでネマガリタケの茎を2~3本束ねて掴み、それを手掛かりにして上体を引き上げる。
一歩一歩確実に斜面を踏んで、足場を確保し高度を稼ぐ。
三点支持の方法で、ハシゴを登るように斜面を這い上がった。
66歳には思えない程、バカなことを楽しんでいる。
もがきながら藪漕ぎしてると、やがて前方が開けてきた。
稜線がすぐそこに。
斜度は緩くなり、ネマガリタケの丈も低くなる。
尾根の上で一呼吸。
急斜面を登っているときは、2~3度引き返そうかなと思ったが、登りきってしまったら気分は爽やか。
ひと仕事終えた気分。
体が活性化して四肢に力が漲っている。
尾根に上がれば、山頂は目前。
山頂までは、膝ぐらいの藪漕ぎだった。
のんびりと尾根歩きを楽しんだ。
黒森山頂風景
残雪期の黒森山頂は見晴らしが良かったが、今は樹間から高田大岳や雛岳を遠望するしかない。横長の山頂部分は藪に覆われていて、腰を下ろすスペースもない。
山頂部には、イヌツゲに似た葉の低木があった。
あとで調べたらアカミノイヌツゲという常緑樹だった。
その根元で、黒森の三角点を発見。
アカミノイヌツゲ
この木は主に北海道、本州中部以北に分布しているという。高さは2mほど。
- 亜高山帯の尾根筋の岩場や湿原の周辺に生える。
- 類似するイヌツゲとの相違点は、葉の中間から上縁にかけて鋸歯があること。
上記2点が同定の決め手。
この低木に赤い実がついていれば同定は確実なのだが、私が見た範囲内では赤い実は見当たらなかった。
アカミノイヌツゲは雌雄異株で、私が見たのは雄株だけだったのではと思っている。
もっと山頂付近を見回れば、赤い実を目撃できたかもしれない。
北八甲田連峰の東の端っこにちょこんとある小さな山だけれど、「黒森溶岩」で出来た成層火山だったのだ。
ちなみに北八甲田連峰は「北八甲田火山群」。
南八甲田連峰は「南八甲田火山群」となっている。
大岳も小岳も高田大岳も、「北八甲田火山群」として一括りにされているのに、黒森だけが「八甲田黒森」と言う名の独立した火山として扱われている。
黒森は、特別な存在であるらしい。
八甲田連峰の山の名前は、「○○岳」とか「〇ヶ峰」とか「〇〇倉」とかいうのがほとんど。
そのなかで「黒森」という控えめな名前。
千メートルちょっとという低い山。
登山道も無く、人に見向きもされない山。
国立公園の区域ではあるけれど、「普通地域」という普通っぽい区分け。
そんな印象の山だが、「黒森」よおまえは、ひょっとしたら大物?
そのテープは、10~15メートルぐらいの間隔で高田大岳方向に続いている。
おそらく黒森峠から登ってきた登山者(好き者)の目印なのだろう。
しばらく目印を辿って下りてみたが、こちらのルートの方が腰ぐらいの藪で歩きやすい。
斜度も、登ってきたルートよりも緩い。
標高900mぐらいまで目印を頼りに下山し、そのあとは徐々に右手に方向を変えて、のんびりブナの森を散策し、自動車道路に出た。
黒森登山は、黒森峠からの方が幾分楽。
急登と尾根歩きを楽しむなら、今日の私のルート。
そんな感想を持った黒森山行だった。
それにしても非火山性の山地だと思っていた黒森が火山だったとは。
この事は下山後にインターネットで調べて知ったことなのだが、意外な事がわかって面白い山歩きだった。
「八甲田黒森」という名の火山
国立研究開発法人産業技術総合研究所の地質調査総合センターのホームページ>研究紹介>地質情報データベース>カテゴリから探す>火山>日本の火山データベース>第四紀火山>火山名称で探す>D:本州(東北)>八甲田黒森と進むと下の画像のページに行き当たる。出典:地質調査総合センターデータベース |
北八甲田連峰の東の端っこにちょこんとある小さな山だけれど、「黒森溶岩」で出来た成層火山だったのだ。
ちなみに北八甲田連峰は「北八甲田火山群」。
南八甲田連峰は「南八甲田火山群」となっている。
大岳も小岳も高田大岳も、「北八甲田火山群」として一括りにされているのに、黒森だけが「八甲田黒森」と言う名の独立した火山として扱われている。
黒森は、特別な存在であるらしい。
八甲田連峰の山の名前は、「○○岳」とか「〇ヶ峰」とか「〇〇倉」とかいうのがほとんど。
そのなかで「黒森」という控えめな名前。
千メートルちょっとという低い山。
登山道も無く、人に見向きもされない山。
国立公園の区域ではあるけれど、「普通地域」という普通っぽい区分け。
そんな印象の山だが、「黒森」よおまえは、ひょっとしたら大物?
黒森峠方向にピンク色の目印テープ
下山にどこを下ろうかと、頂上直下の斜面を眺めていたらピンクの目印テープが目に入った。そのテープは、10~15メートルぐらいの間隔で高田大岳方向に続いている。
おそらく黒森峠から登ってきた登山者(好き者)の目印なのだろう。
しばらく目印を辿って下りてみたが、こちらのルートの方が腰ぐらいの藪で歩きやすい。
斜度も、登ってきたルートよりも緩い。
標高900mぐらいまで目印を頼りに下山し、そのあとは徐々に右手に方向を変えて、のんびりブナの森を散策し、自動車道路に出た。
まとめ
黒森峠の入山口(標高818m)は、私のスタート地点(標高735m)よりも83mぐらい標高が高い。黒森登山は、黒森峠からの方が幾分楽。
急登と尾根歩きを楽しむなら、今日の私のルート。
そんな感想を持った黒森山行だった。
それにしても非火山性の山地だと思っていた黒森が火山だったとは。
この事は下山後にインターネットで調べて知ったことなのだが、意外な事がわかって面白い山歩きだった。
「人は知らじな火を噴きし山のあととも」であったのだね。
キノコを探して、黒森北側山麓に入る。ご覧の通り、開けていて歩きやすそうなブナの森。 |
千手観音の雰囲気を持ったブナの巨木。 |
キノコの気配は、まったく無し。 |
頂上に近い尾根を目指して、藪のない山麓を登る。 |