公園の「斑入りアオキ」に、去年の赤い実が6月上旬まで残っていた
(葉の陰にアオキの赤い果実。) |
公園の「斑入りアオキ(フイリアオキ)」の葉陰に、赤い実がついている。
それに今まで気がつかなかったのは、葉の陰に隠れるようについていたからだ。
去年の実のはずだが、あまりにも鮮やかな赤なので、今年のものかなと思ってしまった。
でも、そんなはずはない。
ここの「斑入りアオキ」の花は、ついこの間終わったばかり。
それがいきなり、こんなに赤くて大きい実になるはずがない。
大きいといっても、全長2センチぐらいなのだが。
公園のサンシュユの花はアオキよりもずっと先に咲いていた。
でも、果実はまだすごく小さくて青い。
サンシュユの実が赤く熟すのは、晩秋から初冬にかけて。
アオキの実が赤く熟すのは、初冬から冬にかけてである。
この赤い実は、去年の冬に熟したものがそのままついているのだ。
小鳥に食われもせず、落ちもせず、腐りもせず、翌年の初夏までよく保つものである。
「斑入りアオキ」は、ミズキ科アオキ属の常緑低木。
アオキの園芸品種である。
青森県にアオキは自生していない。
青森の低山の林床で、よく見かけるのはヒメアオキというアオキの変種。
アオキよりもひとまわり小さいが、雰囲気はほぼアオキである。
ただ、幹は直立せずに根元から横這いし、葉のつく部分で斜めに立ち上がる。
ヒメだから、幹がか弱くて直立できない。
それでも、雪の重圧に抗いながら、懸命に生きているヒメ。
ヒメアオキの赤い実は、晩秋の八甲田の山麓や滝沢の山でよく見かける。
ブナの林床などで、青々とした葉を光らせている。
葉の陰の小さな実も、赤々と輝いている。
その可憐な姿は、冬枯れた光景のなかで、わずかに残された色彩スポットになっている。
こんなふうに、日当たりのよくない木陰でも生き生きしているのは、陰性の植物であるからなのだろう。
春になって、小さな褐色の花が咲く頃まで、ヒメアオキの赤い実がついているのを見かけることがある。
赤い実をつけたまま雪の下で越冬し、花が咲く五月頃まで、実はついたままなのだから不思議な木である。
「斑入りアオキ」はヒメアオキの仲間なので、そういう性質を受け継いでいるのだろう。
(去年の果実なのに、赤が鮮やか。) |
「斑入りアオキ」は品種名ではない。
葉に斑模様があるアオキの一般名である。
園芸品種であるから、スターダストとかピクチュラータとかそれっぽい名前の品種がいろいろあるようだ。
平和公園の「斑入りアオキ」がなんという品種なのかは、私にはわからない。
「斑入りアオキ」は陰樹の代表みたいなもので、日当たりの悪い場所でもよく育つ。
陰樹といっても、葉が明るい雰囲気なので、陰樹っぽくない。
でも春に咲く小さな花は、とても暗い感じ。
あの暗い感じの花が、鮮やかな赤の丸長な実になるのだから、なんとも変な気分。
(「斑入りアオキ」の葉。厚みがあって光沢がある。鋸歯は不規則。) |
(「斑入りアオキ」の植え込み。常緑樹でも、葉は散っている。) |
(アオキの今年の結実。ピンボケですみません。) |
(こちらもピンボケ。アオキの果実の赤ちゃん。) |