飛んで目に入る夏の飛蚊症
「飛蚊症」のイメージイラスト。 |
今年の夏は、青森市内では暑い日があまり続いていない。
そのせいか、蚊を見かけることが少なかった。
家の中で、蚊の姿を見ることは、ほとんどなかった。
それが今朝、一匹の蚊が目の前を音もなく横切った。
激しい雨の音で、蚊の飛ぶ音がかき消されてしまったのかなと思ったが、そうではなかった。
その蚊は、目のそばで浮いたり、左右に水平飛行したりして視界から消えることはなかった。
映像は、眼の中の影であることにすぐ気がついた。
これは、うわさに聞く飛蚊症(ひぶんしょう)ではあるまいか。
そこで、仕事が暇なうちに眼科医院に行くことにした。
飛蚊症には、網膜剥離とか緑内障とかの恐い病気が原因していることもあると聞いていたからである。
飛蚊症が前兆としてあらわれ、網膜剥離と診断され、手術したが、結局失明してしまった同年代の知人がいる。
もっとも彼は、極度の近視が一因して、齢が嵩むにしたがって網膜剥離を発症させてしまったのだが。
いずれにしても、早めに、専門医に診てもらうにこしたことはない。
「閃輝暗点」では、眼科の診察を受けなかったが、不快な目の症状を放ってはおけない。
久しぶりに訪れた眼科医院は、機械だらけだった。
さまざまな機械で、視力検査や眼圧検査などを受けた後、診察という手際よい段取りであった。
医師が機械で眼の様子をのぞき、問診の後、眼底検査ということになった。
瞳孔を開かせる「散瞳薬」という目薬のようなものを点眼し、20分ぐらい待たされた。
看護師が、ペンライトで瞳孔の状態を確認してから、眼底カメラでの眼底検査が始まった。
宇宙からのビーム光線を目の奥に照射された感じだった。
眼球を真上・斜め右上・真横(右)・斜め右下・真下・斜め左下・真横(左)斜め左上と移動し、各位置でしばらく止めて、宇宙からのビーム光線を浴びる。
それを左右両眼で行った。
所要時間は十分程度。
パソコン疲れ目対策として時々目のストレッチをやっているので、この目の移動はスムーズにできた。
でも、眼の奥から脳みそまでにも、突き刺さってくるようなビーム光線にはまいった。
検査の結果、硝子体(しょうしたい)に濁りがあり、その濁りが影となって虫が飛んでいるように見えるとのことだった。
この硝子体の濁りは加齢によるものなので、心配はないということ。
「病名(病気ではないらしいが)」は飛蚊症とのこと。
「みなさん、時間がたてば馴れてしまうようですよ」という若い女医のおコトバ。
この「虫飛び影」に馴れることがあるのだろうか。
加齢は病気ではない。
治らない原因が加齢であるなら、飛蚊症は病気ではない。
病気ではないから、飛蚊症は治らない。
ということか。
変てこな三段論法で、飛蚊症が不治の「ヤマイ」になってしまった。
医者がそう言っても、オレなら復活できる。
かつて、整形外科医が「指の屈曲」が残ると言ったマレットフィンガーの後遺症を、オレが指の運動で治したように、飛蚊症も眼のストレッチで治してやろう。
硝子体の濁りをクリーンにしてみせる。
女医よ、びっくりしてションベンもらすなよ。
下品だが、復活に対する決意はかたい。
さて、それはともかく、飛蚊症にともなって網膜裂孔などが発症する場合があるので、一ヶ月後に念のための検査として、また宇宙からのビーム光線を浴びることになった。
今日の診察料金は、千五百円だった。
お値打ちなビーム光線だったのね。
なお、瞳孔を開かせる「散瞳薬」を点眼すると、視界がぼやけるので、3~4時間過ぎないとクルマを運転できない。
近くなので、クルマを医院の駐車場に置いて歩いて家へ帰ったのだが、道路の白線がすごくまぶしかった。
やはり、視力が通常状態に回復するまで四時間かかった。