2015/05/15

タニウツギの花は、どうして忌み嫌われているのか?

川岸のタニウツギ。
青森市の堤川の川岸で、タニウツギが花を咲かせている。

堤川は、中流部から下流にかけて、コンクリート堤防で川岸を囲まれている。
青森高校などのボート部の艇庫がある辺りは、川とコンクリート堤防のあいだが、幅2~3メートルぐらいの緑地(立入は禁止されている)になっている。
その緑地に、ポツリポツリとタニウツギの木が自生していて、この時期、花を咲かせている。

見栄えのあるピンク色の花と、葉の緑色の彩りがなんとも艶っぽい。
美しい花ではあるが、青森市内では、庭木として見かけることがほとんど無い。
郊外の山林の縁で、群生して花を咲かせていることが多い植物である。

この時期、山野に行けば、どこででも見られる花であるから、観賞用の庭木としてはあまり利用されないのだろうか。
こんなに綺麗な花なのに。
以前からそのことが気になっていた。
庭に植えてはいけない訳でもあるのだろうか?

タニウツギの別名は、ベニウツギやタウエバナなど。
ところが、この花を彼岸花同様「火事花」とか「死人花」とか「葬式花」とか呼ぶ地方もあるということを、つい最近知った。
縁起の良い花では無いらしい。
ちょっと妖艶な花の印象が縁起悪さを呼び込んでいるのだろうか。

秋田県の仙北地方では、タニウツギの花を家の中に入れると、火災が発生するなどと忌み嫌われているという。
濃いピンクの花が美しい。
青森市近辺では、タニウツギのことを「ガジャシバ」と呼んでいる。

「ガジャ」とは群生している様子が「ガチャガチャ」した印象であるからか。
それとも「火事(カジ)」が訛って「ガジャ」となったのか。
「シバ」とは小枝の柴(しば)のことで、タニウツギが低木であるからだろう。
山林の縁に群生している様子は、なんとなくガジャシバっぽい。

ところが、「ガジャシバ」とはどうも葬儀に関係した植物であるらしい。
津軽地方や秋田では、棺の中にガジャシバの枝を、死者の持ち物として入れていたこともあったという。

そういうわけで、庭に植えたり家の中で飾ったりする花ではないと言い伝えられたのだろう。

タニウツギは日本特産種で、日本海側の山地や谷の斜面に多く見られると言う。
分布は、北海道の西側、東北地方、北陸地方、山陰地方。

北海道をのぞいて、昔、これらの地方を「裏日本」と呼んでいた。
タニウツギは、その昔、裏日本を代表する花だったのかもしれない。
そのことが、タニウツギの明暗を分けていたのかも、なんてことはおそらく無いだろう。

雛鳥が口を開けて餌をせがんでいるような。
青森市近辺では、タニウツギの花が咲き始めるとタケノコ(ネマガリタケ)が採れると言われている。
タニウツギの花は、タケノコ採りの目安にされている。
タウエバナと呼ばれているのは田植え時期の目安にされているからだろう。
この花をワラビ採りの目安にしている地方もあるという。

タニウツギは、それだけ身近な花でありながら、どうして忌み嫌われているのだろう?
やはり古くからの慣習のせいか。
死者を弔う花であるからなのだろうか。

だが、死者を弔う花の代表格である菊は園芸植物としてもてはやされている。
タニウツギが忌み嫌われている理由は、タニウツギが死者に直接触れるものであるからではないだろうか。
タニウツギの花は、死者を忌み嫌い恐れる文化が咲かせた「徒花(あだばな)」のようである。

花と、可愛らしい蕾。

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