2015/10/21

芭蕉と白秋「石山の石より白し秋の風」

石山の石より白し秋の風
松尾芭蕉

私がこの句を読んで真っ先に思い浮かんだのは、北原白秋のこと。
「白し秋」で白秋となり、北原白秋を連想してしまったのだ。

これは芭蕉の誘導によるものか。
おっと、芭蕉は、明治の詩人北原白秋のことを知るはずもない。
 
芭蕉が誘導しようとしたのは、「五行思想(五行説)」の白に由来する「白秋」
五行思想では秋の色は白であるという。

目の前に白い石山があって、その石よりも白い秋の風が吹いているというイメージ。
「おくのほそ道」の旅で、芭蕉は那谷寺(なたでら)を参拝し、境内の白い奇岩を目にする。
その白い岩と秋をオーバーラップさせたのだ。
目の前の白い岩と天空の白秋との対比。

特異な様相の岩を白秋と対比させることによって白さを際立たせ、秋の風を白い岩と対比させることによって、目の前の冬を思い起こさせる。
これが芭蕉の誘導の仕掛けか?

全体に「し」の音が韻を踏んで句の調子を整えている。
「石山の」という「上五」の出現と同時に全てが出来上がったような句の名調子である。

そういえば、青森県にも白い岩があった。
青森県平川市にある白岩森林公園の白い岩は凝灰岩でできていて、雪のように白い。
この白さに比べれば、那谷寺の白い岩は、写真で見る限り、グレーっぽい。
白岩森林公園の白い岩山を目撃したら、芭蕉翁はどんな句を詠まれたことだろう。

ところで、芭蕉は北原白秋のことをまったく知らないのだが、白秋は芭蕉のことをよく知っている。
そして、下に引用した「詞」を作ったのだった。
芭蕉 
馬で目ざめて、峠で明けて、
夢は野末の茶のけむり。
煙たつならほそぼそたちやれ、
月に芭蕉のひとり旅。
   (作:北原白秋)

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