津軽富士見湖に架かる美しい木造橋「鶴の舞橋」

津軽富士見湖(廻堰大溜池)周辺地形図(国土地理院ホームページより)


愛犬の散歩がてら、鶴田町の津軽富士見湖(廻堰大溜池)に架かっている「鶴の舞橋」を見物に行った。

「鶴の舞橋」は、2016年にJR東日本「大人の休日倶楽部」のCMに登場して話題になった大きな木造橋。
そのCMの主演が吉永小百合さんで、美人女優と美橋「鶴の舞橋」との美の共演であったとか。

その後も、「鶴の舞橋」は、いろいろなコマーシャルシーンに登場している。
そのおかげか、津軽富士見湖(廻堰大溜池)を訪れる観光客が増えている。
尚、津軽富士見湖は青森県内で最も大きな人造湖である。

ここへ遊びに来たのは15年ぶり。
そのころも「鶴の舞橋」はあったのだが、観光地としては閑散としていた。
現在みたいに売店も並んでいなかった。


湖北東岸より「鶴の舞橋」を眺める。


つがる富士見湖散策コースの案内看板。


自転車乗入れ禁止、ペット入場禁止の看板。


駐車場にクルマを止め、愛犬をクルマから降ろして、橋見物に歩きかけたら、公園の職員らしき男性から声をかけられた。
「ここは全域ペット禁止ですよ。」と。

その職員さんの話によると、犬のリードに足を引っ掛けて、転んでケガをした観光客がいらっしゃったようで、それからペット入場禁止になったのだという。
あたりを見回すと、あちこちに「犬バッテン」マークの看板が設置されている。

なるほど、これも観光客が増大したことの結果なのだね。
仮にこの橋が、ユネスコの世界遺産に認定されれば、橋を渡ることも制限されるかも。
などと思いながら、ひとりで「鶴の舞橋」見物に出かけたのだった。


雲が似合う「鶴の舞橋」。南側より撮影。


「鶴の舞橋」の概要看板。


南側の橋の袂に、上の写真の看板が建っていた。
橋の概要についての看板である。
せっかくなので、記述を引用させてもらおう。


『鶴の舞橋(つるのまいはし)』の概要
◇長さ:300m(日本一なが~いきの橋)
◇幅:3m
◇橋脚の径:直径30cm(樹齢150年以上)
◇使用材料:県産「ひば」1等材
◇最も高い所:湖底面より8m
◇中間2ヶ所の休憩所としてのステージ:大ステージ10m×21m 小ステージ9m×9m
◇親柱:直径60~80cm(樹齢400年以上)
◇総工事費:2億6千万円
◇工期:平成3年10月~平成6年7月
◇開通:平成6年7月8日
◇所管省:農林水産省
◇実施機関:青森県 北土地改良事務所
◇管理機関:鶴田町 

蛍の照明について
 夜になると橋の欄干に付けられた110基の照明が足元を照らしてくれます。その明かりは、薄緑色で、蛍をイメージして造られており、水面に写しだされる3連の明かりが何とも言えない情緒とロマンチックなムードを漂わせてくれます。

この橋は農業農村整備事業により造られました。橋の名称は、多くのみなさんに末長く親しまれるよう、県内公募の中から「鶴の舞橋」としました。

【上記の赤字部分は、ブログ管理人が、上の看板から引き写したもの。】


南側の橋の袂。


南側より屋根のかかった小ステージを撮影。


橋の造りは、3連の木造太鼓橋となっており、日本一の長さであるという。
アーチ状に高低差があるので、橋の上が人で混み合った場合でも、平坦な橋よりは視界が確保されている。
秀麗な津軽富士である岩木山を眺め、風に波打つ湖面を眺めるのに適した造りとなっている。


南側より大ステージを撮影。


大ステージは、小さな演奏会でも催せそうなぐらい広い。
夏の夜にこの空間で、弦楽四重奏でも開催したら心地よい気分になれそうである。
真夏の夜のジャズも良い。
和風の構造であるから、青森特有の「能舞」も似合うかもしれない。



大ステージの中に設置された「津軽富士見湖の伝説」の看板。


湖には伝説がつきものである。
伝説が、湖としての格調を高める。
溜池から湖へと、景観的なグレードを上げる。
上の写真の看板に書かれている伝説は、鶴田町を統治する城主と町娘にまつわる悲恋物語であるとされているが・・・

実際看板を読んでみると、男女間の裏切りあり、入水自殺した女性の祟あり、裏切った男の狂乱連続殺人ありで、なにやらおどろおどろしい。
この物語の底には、リアルな文脈も潜んでいたりして・・・

湖にちなんだ美しい伝説を期待して読んだのだが、ホラーがかった意外な物語の展開に、このブログへの引用は控えさせてもらった。
ご興味ある方は、湖の風に吹かれながら看板を一読されよ。

大ステージの中に設置された「廻堰大溜池の沿革」の看板。


大ステージには、伝説の物語看板の横に「廻堰大溜池の沿革」の看板も設置されている。
以下の赤文字の文章は、この看板から引用したものである。


廻堰大溜池(まわりぜきおおためいけ)の沿革(えんかく)
 古記によると、このため池は岩木山を水源とする白狐沢からの自然流水による貯水池であったものを、万治3年(1660年)に四代目藩主津軽信政公が樋口権右衛門を廻堰大堤奉行に任命し、柏村地方の用水補給のための堤防を築き用水池にしたものと記録されている。
 その後、豪雨、融雪と自然災害により元禄、寛政、文政、明治、大正と堤防が決壊し、そのたびに大修理が加えられ関係者の苦難は、多大なものであった。

 しかし、この長期にわたる努力と地域住民の献身的な働きかけにより、国や県の手により堤体や取水施設等の整備がなされ現在のため池となっている。
 貯水量は、1,100万トン(直接かんがい面積393ヘクタール、補給面積6,500ヘクタール)をかかえ、満水面積281ヘクタールと県内でも最も大きな人造湖であり当地域の重要な農業用水施設となっている。
 また、このため池は周囲11kmのうち堤長4,178m堤高7mと日本でも有数の大きなため池であり、ことに堤長に関しては日本一である。
 ため池にうつる壮大な岩木山の姿から「津軽富士見湖」の愛称で親しまれており、また古くから豊富な淡水魚類、野鳥の宝庫として知られている。

(句読点その他は看板原文のママ)


大ステージより南方向に岩木山(津軽富士)を眺める。

大ステージより東方向に八甲田連峰を眺める。

南岸より大ステージと岩木山を眺める。

緻密に組まれた橋脚。

北側の橋の袂。まるで岩木山に架けられた橋のようである。

南側湖岸と岩木山。湖岸の湖畔林の景色もなかなか良い。


この溜池を美しく見せているのは、南方にそびえる岩木山と、ヤナギを中心とした豊かな湖畔林、津軽平野の広がりと、その向こうに連なる山並みの美しさである。
そして、和風な木造橋「鶴の舞橋」が湖の風光を際立たせている。

このあいだの、津軽半島大沼に架かっている「東日流館橋(つがるやかたはし)」も良かった。
今日の「鶴の舞橋」も良い。

津軽地方の溜池文化は、溜池の機能と景観を両立させているところがすごい。
金木町の芦野湖(藤枝ため池)や中泊町の大沢内ため池だってそうである。
つがる市の木造にある大溜池の景観も美しい。

津軽の溜池文化が、廻堰大溜池に「鶴の舞橋」を造らせたと言えるだろう。
津軽の豊かな自然に支えられている溜池文化は、水の文化。
水の文化は、稲作の文化かそれとも山の文化か。

この地方の人々の、ものの考え方や行動に大きな影響を与えているのは、岩木山の存在感。
存在感という文化なのだ。
湖越しに岩木山を眺めながら、そう思った。
文化は山から里へ、水のように流れている。

そして、橋の向こうに雲を携えてそびえている岩木山を見れば、この橋は岩木山という異界に架けられた橋のようにも思えるのだ。
「鵲(かささぎ)の渡せる橋に・・・・」という古歌(新古今集)があったが、「鶴の舞橋」は「鶴の渡せる橋」であり、鶴は岩木山という「幻想の津軽」に橋を渡しているようにも見える。
幻想風景として、そう見ることもできるのだ。

その橋の袂に、一本の美しいヤナギの木。
下の写真にあるシロヤナギの大木である。
ヤナギは挿し木でよく根付くので、復活と再生のシンボル。
美しい自然の象徴である。

津軽富士見湖に来ると、津軽という抽象的なイメージが、岩木山や溜池や水辺のヤナギや木造橋に象徴される。

それらが一体になった風光を眺めながら、訪れた人たちは異土としての「津軽」を感じているのかもしれない。

十三湖近くの大沼公園に架かっている「東日流館橋」を見た勢いで、鶴田までやって来て、「鶴の舞橋」を改めて見た感想は、「異土としての『津軽』を感じている」だった。


南側湖岸の美しいシロヤナギの大木。根元が水につかっている。

富士見湖パークの案内看板。


津軽富士見湖の周辺は、富士見湖パークと呼ばれている。
遊具広場あり、古民家の展示あり、温泉あり、丹頂鶴自然公園ありで、多様な興味心を満足させてくれる場所となっている。

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