中泊町の「大沢内ため池」に架かるふたつの木橋、「大沢内大橋」と「しらさぎ橋」を見物
(大沢内ため池 出典:国土地理院ホームページ) |
五所川原市の「境野沢ため池」に続き、中泊町の「大沢内ため池」を見物。
「奥津軽の七木橋」は、このため池に架かっている「大沢内大橋(全長180m)」と「しらさぎ橋(全長150m)」で、六本目と七本目。
「奥津軽の七木橋」めぐりは、「芦野夢の浮橋」を踏んでいないものの、一応今日で終了となった。
終えてみれば、改めてため池の魅力を強く感じた七木橋めぐりだった。
ため池は、津軽平野に広がる水田地帯の農業用水供給源として、現在も機能している。
そのように今も働いているので、景観が美しく保たれているのだろう。
ため池には、「谷池※」と「皿池※」があるが、ことに「谷池」の景観が素晴らしい。
(※谷池とは、山間部の谷を人工的に堰き止めてできたため池。山池とも言う。)
(※皿池とは、平野部に造られたため池。河川や他のため池などから取水する。)
(大沢内ため池公園に建っているしゃれたイラストマップの看板。地形の立体感がよく出ている。) |
今日見物した「境野沢ため池」も「大沢内ため池」も「谷池」に属している。
ため池の取水施設がある方を前とすれば、「谷池」は背後に山が広がっている。
私がこの「谷池」の魅力に気づかされたのは、つがる市木造(きづくり)にある「大溜池」を見たときだった。
木造(きづくり)の「大溜池」は「ため池公園」として整備されていないが、素晴らしい景観を持った「谷池」である。
その木造「大溜池」同様に素晴らしいのが、今回の「大沢内ため池」だった。
美しいため池に共通しているのは、以下の点ではないだろうか。
- 森(池畔林)に囲まれ、背後に山がある「谷池」であること。
- 池の形が、山間部に入り組んでいる(リアス式?)。
- 水性植物が豊富。
- 地元の人達に大切にされている。
【おしゃれなトイレ(1階)と休憩所(2階)。建物の裏が多目的広場。】 |
大沢内ため池公園には、大型車駐車場も含めて駐車場が五箇所設けられている。
そのなかで、上の写真の駐車場にはトイレと休憩所が完備されている。
また、トイレ建物付近には、芝生の多目的広場があり、憩いの場として快適である。
この駐車場が、五箇所のなかで最大となっている。
(2階の休憩所ベランダからため池を眺める。手前が「大沢内大橋」。奥が「しらさぎ橋」。) |
「大沢内ため池」は、江戸時代の宝永年間 (1711-1715)に津軽平野の新田開発の用水源として弘前藩により造られたため池である 。
現在でも五所川原地域有数の貯水能力を誇っている。
農業用水を供給している水田は、280haに及ぶとのこと。
周辺一帯は「芦野池沼群県立自然公園」となっている。
豊かな自然環境が保たれていて、 サギなど渡り鳥が飛来することでも知られている。
蓮の花期は、7月~8月。
まだ先だが、この池の蓮が一斉に花開いたら、さぞかし水面は華やかになることだろう。
水面の蓮は、元気に生育しているようだが、気になるのは池畔の葦・ヨシの群生である。
秋でもないのに茶色に枯れている。
葦は、4月の初め頃に芽を出し、夏に向けて急速に成長する水際の植物。
大きいもので背丈が3メートルぐらいに伸びるものもある。
であるから今の時期は青々と生い茂っていなければならない。
はたしてどうしたわけか。
葦は、生態系を守り、水の浄化を助ける働きがあると言われている。
その葦が、「大沢内ため池」では全滅しているとは。
(「大沢内大橋」の橋上。) |
(橋脚は丸鋼管、橋桁はH鋼。橋脚部が木製でないのが残念。) |
「大沢内大橋」も「しらさぎ橋」もオール木製ではない。
橋板から下は鋼製となっている。
木製の橋脚が水中に脚を下ろしている様子はかっこいい。
「大沢内ため池」とよく似合っていたことだろうが、それはないものねだり。
「大沢内大橋」を渡ると、広い「葉たばこ畑」に出る。
畑の中をちょっと歩いて左折すると「しらさぎ橋」のたもとに着く。
この「しらさぎ橋」は森の奥にある「湧つぼ」への遊歩道に続いている。
橋を渡ると、鬱蒼とした森のなかの小径。
「湧つぼ」までは「しらさぎ橋」から森のなかの散策道を1.3km歩く。
イラストマップの看板には、徒歩約40分と書かれていた。
ここまで来たら「湧つぼ」まで歩かねばなるまい。
(葉たばこ畑の中の道を通って、「しらさぎ橋」に向かう。) |
(「しらさぎ橋」の畑側たもと。) |
(「しらさぎ橋」も橋脚・橋桁は鋼製。) |
(「しらさぎ橋」から池畔を眺める。岸のアシが枯れているのはなぜだろう。) |
(「しらさぎ橋」から「大沢内大橋」を眺める。) |
(森の中へ吸い込まれていく「しらさぎ橋」。) |
(「湧つぼ」へ続く森の遊歩道から「しらさぎ橋」を振り返る。) |